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【社会】原子力機構業務ほぼ独占 関連企業の落札率99%超日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)のファミリー企業・団体への不透明な発注問題で、一般競争入札でファミリー企業が獲得した業務の予定価格に占める落札額の割合(落札率)が、過去五年間の平均で99%を超えていたことが、機構や関係者への取材で分かった。ファミリー企業だけで競争した場合には100%のケースも多数あり、異常な状態になっている。 (小倉貞俊) 通常、一般競争入札をすると、落札率はばらつきがあるものの、予定価格の80%前後で落ち着くケースが多い。90%超ばかりとなれば、予定価格が漏れていたり、談合があったりする可能性が指摘される。 しかし、機構の公表データや関係者によると、ファミリー企業だけが参加した競争入札は、保守・管理や技術開発など各年度に百件前後あり、ほぼ全てが二社だけの争いになっている。落札率も100%近くだったという。 ファミリー企業の担当者は「同じ業務は同じ仕様で発注されることが多く、前年度の契約額と同額を入れれば、たいていの場合は獲得できる」と話す。他社が受注し続けてきた業務を獲得しようと挑戦することもあるが、「初めての業務は分からない部分も多く、前年度と同額で競り落としても採算を取るのは難しい。少し額を多くし、『落とせれば幸運』と考える。現状を守れればいい」(別企業の担当者)という。 各担当者の話に共通するのは、ファミリー企業以外からの新規参入はほとんどないのが実情のため、価格競争をする必要性を感じていない点だ。その分、税金で賄われている機構予算を節減する機会が失われたともいえる。 ファミリー企業をめぐっては、互いに株式を持ち合ったり、中心的な企業が何社もの株式を保有したりして、いくつかのグループができている。ファミリー企業だけの競争入札の中には、グループ内の企業だけが入札し、名実ともに競争がなかった事例も少なからずあるという。 こうした現状について、機構の担当者は「次年度の入札に影響するので落札率は公表していない。ただ、落札率が100%近くになるケースがあるのは、公表している契約額を見て各社が予定価格を類推していることが考えられる。適正な競争が行われるよう、さらに改善に向けて努力していく」とコメントした。 機構を所管する文部科学省原子力課の担当者は「落札率の状況は承知しているが、予定価格が推測される恐れがあり、コメントはできない」と話した。 PR情報
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