近年まれに見る企業不祥事といっていい東芝の利益水増し問題。2248億円の利益をかさ上げしていた事実認定の基礎となり、引責辞任した歴代3社長の責任を指摘したのが、東芝の第三者委員会(委員長・上田広一元東京高検検事長)の調査報告書だ。だが、この報告書の内容について「東芝のための“御用”報告書だ」、「“やらせ”報告書といわれても仕方がない」と、ある組織から容赦ないダメ出しをくらっている。東芝は再調査の必要性を認めていないが、不信感が高まれば会社の再建にも影を落とす可能性がありそうだ。
報告書を酷評しているのは、弁護士らでつくる「第三者委員会報告書格付け委員会」(久保利英明委員長)だ。同委員会は東芝とはまったく関係のない私的な団体で、昨年4月に企業コンプライアンスに詳しい弁護士らが、企業の第三者委員会報告書をチェックするために結成された。
格付け委が11月26日に記者会見では、第三者委の報告書について「東芝から依頼された内容しか調査していない」と指摘した。これを裏付けるように一部経済誌が、第三者委の調査範囲を限定させようとする東芝幹部の電子メール記録を入手して公表。こうした事実を踏まえ、格付け委は「再調査が必要」と強調した。
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