【世宗聯合ニュース】韓国政府が16日発表した「2016年の経済政策方向」では、景気回復と構造改革の具体化に焦点が当てられている。
短期的に景気のてこ入れを実施し、長期的な成長潜在力を拡充するため構造改革に取り組み、創造経済(産業と産業、文化と産業を融合させ付加価値や雇用、成長エンジンを生み出す経済政策)の拡散などで新たな産業戦略をまとめるとしている。
だが、政府の期待とは裏腹に韓国経済が来年も2%台の低成長にとどまるとの見方が多い上、4月には国会議員総選挙が予定されており、構造改革の成果を具体化するのは難しいとする懸念の声も少なくない。
◇今年2%台の低成長 景気対策で3%台に
政府は来年の経済政策の方向性を発表し、今年の成長率見通しを3.1%から2.7%に引き下げた。
最近まで成長率3%台達成への期待を捨てなかった政府が、2%台に下方修正したことは現在の景気を端的に表している。
特に、個別消費税引き下げなど政府の消費促進対策の効果が消滅することが予想され、来年1~3月期には景気を支えていた消費が低迷する恐れがある。
そのため、政府は民間と内需を中心に景気に活力を呼び起こし今年の成長率を上回る輸出回復対策で3%台の成長軌道を確保する戦略を打ち出した。
◇マクロ政策展開で景気の体感を重視
来年の経済政策の中で目立つのは、体感を重視するマクロ政策だ。
これまでは、実質成長率のみを管理し成長率の体感景気を反映させる度合いが低かった。
最近の物価安で実質成長率より経常成長率が急速に鈍化し、景気回復の実感も弱まっている。
これは消費や投資など実体経済の不活性化につながり、政府の税収にもマイナスの影響を及ぼし財政健全性を悪化させる。
日本の「失われた20年」の原因の一つも物価管理の失敗だ。
政府は韓国銀行(中央銀行)が物価安定目標を2%にあらためたのをきっかけに、体感を重視するマクロ政策を展開することを決めた。
現在の消費者物価上昇率は0%台で、今年まで適用される物価安定目標(2.5~3.5%)を大きく下回っている。
◇内需・輸出回復とリスク管理に総力
内需と輸出回復対策も提示した。内需部門では民間の消費余力不足を財政で補う。財政の執行時期も消費促進対策効果が薄れるとされる1~3月期の割合を増やす。
中央政府と地方自治体の1~3月期の財政執行目標を125兆ウォン(約12兆8000億円)と、これまでの計画より8兆ウォン増やし、自治体交付税と交付金も1~3月期に36%を迅速に執行することを決めた。
消費については国民の消費とともに、外国人観光客の消費も促進する。
輸出部門では輸出金融支援規模を20兆ウォン増やし、化粧品、食品、ベビー用品など5大有望品目についてオーダーメード型の輸出支援を行う。
◇4大分野の改革完成目指す
労働・公共・金融・教育分野の4大構造改革の達成にも注力する。
2017年末の大統領選挙を踏まえると、経済革新3カ年改革の目玉となる4大分野の構造改革を仕上げる実質的な時間は来年だけだ。
政府は労働改革をめぐる5大立法を年内に終え、労使と政府の交渉妥結を受けた事後措置(労働)、インターネット専門銀行の営業開始(金融)、公共機関追加機能調整(公共)、定員調整先導大学選定(教育)などで、4大分野構造改革の成果を具体化する。
◇構造改革の内容は不十分?
政府の来年の経済政策に、短期的な景気対策と共に新産業戦略のような長期的な政策が盛り込まれたことを評価する声が出ている。
LG経済研究院のイ・グンテ首席研究委員は「政府が経済活力強化と経済革新3カ年計画の二つに取り組むと表明した」と、政府の経済政策を肯定的に評価した。
その一方で、構造改革の具体的な内容は不十分だとする指摘がある。
現代経済研究院の李埈協(イ・ジュンヒョプ)経済動向分析室長は「短期浮揚策は比較的細かく組まれているが、成長潜在力の拡充のための構造改革と競争力強化ロードマップは不十分だ」と指摘した。