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年757件、「お薬手帳」機能不十分

 複数の医療機関から患者に睡眠薬や抗不安薬を処方された時期が重なる「重複処方」について、企業などの社員が加入する健康保険組合の診療報酬明細書(レセプト)を調べたところ、2012年10月からの1年間で少なくとも757件に上るとの調査結果を、医療経済研究機構などが米医学専門誌で発表した。重複処方の実態が、詳細に明らかになったのは初めて。

     重複処方は患者の薬の飲み過ぎにつながりやすく、特に睡眠薬や抗不安薬を必要量以上に飲んで体調を崩す過剰服薬が問題になっている。

     同機構などは、協力が得られた健康保険組合から提供を受けた約118万人分のレセプト(12年10月〜14年9月)を分析。その結果、12年10月からの1年間で、重複処方が1カ月以上続いた患者は757人いた。このうち、次の1年も重複処方が1カ月以上続いた患者は399人だった。

     また、糖尿病や心不全など慢性の病気が二つ以上ある患者は、一つしかない患者に比べて重複処方された割合が高く、通院する医療機関が複数にまたがると重複処方されやすい傾向がうかがえた。

     一般的に、かかりつけ薬局の薬剤師が、服薬歴を記録する「お薬手帳」を使って一元管理することになっているが、十分に機能していないとみられる。医療経済研究機構の奥村泰之・主任研究員(医療経済学)は「重複処方は、協会けんぽなど他の保険者の加入者を含めれば1万人単位になるだろう。薬剤師が重複処方の解消のために一層指導できる体制を講じるべきだ」と指摘する。【河内敏康】

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