日本人のハートをさらう「イ・ボミ・シンドローム」が巻き起こったのはなぜだろうか。大会会場で会った日本人記者たちは「これまでの日本にはいなかった新しいタイプのゴルフ選手だから」と口をそろえた。 2011年のデビュー時からイ・ボミを見守ってきたという日刊スポーツの加藤裕一記者は「つっけんどんな日本人選手は試合がうまくいかないとサインを頼んでも断ることがあるが、イ・ボミ選手はいつもファンにニコニコしていて、老若男女問わず爆発的な人気を呼んでいる」と言った。ゴルフの実力だけでなく、ファンサービスもトップクラスだということだ。
イ・ボミの前向きで活発な性格も人気の理由の一つだ。日本経済新聞の奈良部光則記者は「好成績を挙げたことについて質問すると、日本の選手たちはほとんどが負担を感じて言葉を濁すが、イ・ボミ選手は今年の最多賞金記録更新について質問した時、『来年さらに高い目標を達成できるよう頻繁に質問してほしい』と言った」と語った。報道陣に向かって「私のことをたくさん応援してください!」と叫ぶのも、日本ツアーの選手でイ・ボミが初めてだったという。子どものころは家庭の経済事情が苦しかったが、それを乗り越えてゴルフ選手として成長したことも多くの日本人に感動を与えた。
来年は全米女子プロゴルフ(LPGA)ツアーのメジャー大会優勝に挑むというイ・ボミにとって、最も心強い「応援団」は日本デビューと同時に誕生したファンクラブだ。先月、江原道平昌で開催された「イ・ボミ招待ゴルフ大会」には日本人ファン110人が参加したほど熱気がすごい。昨年シーズン途中でイ・ボミが父を亡くすと、韓国まで弔問に来たファンもいた。イ・ボミは「大勢の年上男性ファンを見ると、天国の父のように心強くなる。ファンの愛があったからこそここまで来ることができた」と言った。
イ・ボミの韓国語のインタビューをそばでじっと聞いていた日本人男性ファンは、この言葉を聞いてそっと涙した。彼はイ・ボミのファンになって韓国語を習い始めたとのことだ。