住宅街の祈祷所、騒音問題で周辺住民の苦情相次ぐ

上下の階の騒音で刃傷沙汰も
「裏産業」のため規制も困難

住宅街の祈祷所、騒音問題で周辺住民の苦情相次ぐ

 「妻が臨月なので、昼は何とか我慢するが、夜にはもう少し静かにしてほしいと頼みに行ったのに、刃物まで持ち出した被告人を、必ず処罰してほしい」

 先月初め、ソウル市江西区禾谷洞の集合住宅の上下の階に住む2人の住民がソウル南部地裁の法廷に立った。今年6月19日未明、騒音に抗議しに来た2階の住人Hさん(41)を刃物で切り付けたとして起訴されたムーダン(シャーマン)のK被告(41)=女性=に対する国民参与裁判(日本の裁判員裁判に相当)が行われたのだ。証人として出廷したHさんは「上の階に住むK被告の部屋から、たびたび呪文が聞こえてくるため、我慢の限界だ」として、陪審員たちにK被告の処罰を訴えた。K被告が運営している祈祷(きとう)所は、ポータルサイトで位置情報や口コミなどが出ている有名な祈祷所だ。K被告がHさんを切り付けた刃物も、祈祷の際に用いる厄除け用の道具だった。

 住宅街にある祈祷所から聞こえる呪文などの騒音を訴える住民が増えている。ソウル市の総合市民相談電話サービス「茶山(タサン)コールセンター」や、各区役所の建築課などには、ムーダンによる上下の階の騒音を訴える電話がたびたびかかってくるという。

 ソウル市九老区の低層集合住宅に住むPさん(45)=女性=も、隣にある祈祷所からの騒音に苦しんでいる。Pさんは騒音に耐えかね、現在引っ越し先を探している。「隣に住むムーダンが、祈祷をするといって、銅鑼や鉦(かね)、太鼓を叩いている。2年以上騒音に苦しめられ、抗議をしても無駄なため、引っ越すことにした」とPさんは話した。慶尚南道昌原市に住む女性Aさん(32)=女性=も「2カ月前、下の階にムーダンが引っ越してきたが、お香のにおいや祈祷の声のため悩んでいる」と話した。

 韓国易術人協会によると、ムーダンを含む占術産業の従事者は45万人に上ると推定されている。このうち相当数は集合住宅に居住しながら「卍」や「○○仙女」などの表示を玄関に掲げて営業している。

 行政当局は、軽犯罪処罰法違反(騒音)で処罰する以外には、これといった対策を講じられないのが実情だ。ソウル市のある区役所の関係者は「裏産業に分類される祈祷所は、建築法を根拠として営業を規制するのが容易ではない」と話した。

チェ・ウンギョン記者
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