対北朝鮮偵察衛星の予算が大幅削減 計画に支障か=韓国

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の軍事施設などを監視する偵察衛星導入予算が大幅に削減され、韓国軍が北朝鮮監視を独自で行う能力を備える計画に支障が出る見通しとなった。

 韓国国防部は3日、国会で可決した来年度(1~12月)の国防予算のうち、対北朝鮮偵察衛星導入事業(425事業)の予算が政府案の100億ウォン(約11億円)から80億ウォン削減された20億ウォンで確定したと発表した。

 当初、偵察衛星導入予算は軍では643億ウォンを要請していたが、企画財政部による審議の過程で100億ウォンに減らされ、国会でさらに80億ウォン削減された。

 軍は2022年までに偵察衛星5機を導入する契約を今年下半期に締結する計画だったが、予算が大幅に削減されたことにより、来年の契約も不透明になったとの見方が強まっている。

 偵察衛星は北朝鮮のミサイル基地など軍事施設を監視することが可能で、核兵器やミサイル基地を探知、追跡、破壊する「キルチェーン」の中核となる。

 軍は「キルチェーン」を20年まで構築する計画で、偵察衛星が導入されれば、韓国軍が独自に北朝鮮を監視することができるため、米軍に協力を求める機会も減る。

 政府関係者は「国会審議の過程で契約締結の不確実性を理由に予算が削減された」と指摘。その上で、「まったく理解できない話」と強調した。

 一部からは偵察衛星の運用について、軍と国家情報院、未来創造科学部がそれぞれ主導権争いをしているとの見方も出ている。防衛事業庁関係者は「偵察衛星体系開発基本計画に関する官庁間協議が来年中盤まで続く見通しだ。現在、未来創造科学部や国家情報院など関係機関協議が進行中だ」と説明した。

 また、北朝鮮に対する監視・偵察能力を強化するための中高度の無人偵察機(UAV)体系の構築に関する事業予算も政府案の248億ウォンから116億ウォンも削減された。UAVは18年までに15機を導入する計画だが、これも支障が生じる見通しとなった。

 情報収集艦に搭載するUAV能力補強のための予算も政府案の99億ウォンから74億ウォン削減された。 

 政府関係者は、UAVはすべて北朝鮮を監視するための重要な戦力だとした上で、「20年代中盤に有事作戦統制権が移管される前にわが軍が備えなければならない独自の対北監視網の核心戦力であるにもかかわらず、予算が削減され事業計画に支障が出ることが避けられなくなった」と指摘した。

 一方、国防予算は総額38兆7995億ウォンで、今年より3.6%増加した。

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