公募取り消しなど混乱続きで1年にわたり空席となっていた国立現代美術館長に、スペイン人のバルトロメオ・マリ・リバス氏(49)が就任することになった。マリ氏は今年3月までスペインのバルセロナ現代美術館(MACBA)の館長を務めていた。文化体育観光部(省に相当)は2日「公募、書類審査、面接、身元の照会を経て、スペイン人のマリ氏を任命することになった」と発表した。1969年に国立現代美術館が設立されて以来、マリ氏は初の外国人館長就任となる。文化・芸術分野の政府機関の中で、トップに外国人が就任するのは今回が初めてだ。
文化体育観光部はマリ氏を採用した経緯について「マリ氏はMACBAの館長、オランダ現代美術センターのディレクターなど数々の要職を歴任し、展示の企画力や経営能力が立証されている」などと説明した。ある民間美術館の館長は「国際美術館会議(CIMAM)の会長を務めるなど世界各国に人脈があり、美術関係の国際的な流れについても造詣が深い」「ソウル大学や弘益大学など学閥や派閥の影響が強く、国際的な波に乗り切れない韓国の美術界を救う『美術界のヒディンク(2002年サッカー・ワールドカップ韓日大会の韓国代表監督)』だ」として大きく歓迎した。
その一方でマリ氏が今年の初め、展示物の検閲をめぐる混乱でMACBAを辞任した事実が公表されないまま任命されたことを疑問視する声もある。今年3月にマリ氏はスペイン国王を風刺した彫刻作品の展示に待ったをかけ、世論の激しい批判を受けてMACBAの館長を辞任したとされている。この問題と関連して先月12日には韓国の芸術関係者800人以上が集まり、MACBA辞任を巡る疑惑を明らかにするよう文化体育観光部とマリ氏本人に要求した。この問題について文化体育観光部は「『美術館を守るための選択で、自ら責任を取って辞任した』とするマリ氏本人の釈明を含め、この問題についてはすでにしっかりと検討した」と説明している。