野球:韓国球界に巨額FA時代到来、「もらい過ぎ」との批判も

■「過熱すれば共倒れ」「自制を」

 FA選手獲得に熱を上げるあまり、ただでさえ自生力が弱い韓国の球団事情はさらに悪化することになる。今回、外部FA選手を獲得しないことにしているある球団の関係者は「先発投手ならともかく、リリーフ投手に30億ウォン(約3億2000万円)以上を投資するのはナンセンス。これまでの仕事(ポジション)に応じて野球界が慣行として守ってきた年俸の上限が崩れていこうとしている感じがする」と言った。別の球界関係者は「親会社が野球から手を引けば、球団にアジア通貨危機の時のような大ピンチが訪れるかもしれない。大リーグ事務局のように基準となる年俸総額を決めておき、これを超過する球団に制裁金の性格を持つ『ぜいたく税』を課すなどの抑制手段も検討すべきだ」と言った。

 しかし、選手たちにもそれなりの事情がある。韓国リーグの規定上、高卒選手がFA宣言するには9シーズンを経なければならない。兵役期間を含めば入団してから11年経過しなければ大型契約のチャンスがないということだ。入団間もないころは手にする金額も少ない。朴錫ミン(パク・ソクミン)は2004年にサムスンに入団した時、契約金1億8000万ウォン(約1900万円)をもらっただけで、デビューから3年間の年俸は合計6600万ウォン(約7000万円)に過ぎなかった。04年に2000万ウォン(約210万円)だった新人選手の最低年俸は現在2700万ウォン(約280万円)と、たった700万ウォン(70万円)しか上がっていない。やっとのことでFA資格を得た選手としては、当然のことながらFA市場で高い価値を認めてほしいと願っている。

 このため、球団が行き過ぎた競争を自制すべきだという声が出ている。プロ野球解説者のソン・ジェウ氏は「大リーグのカンザスシティ・ロイヤルズは市場規模が小さい『スモール・マーケット』球団が有望選手を自主的に育成する『ファーム・システム』を生かして今年のワールドシリーズ優勝を果たした。韓国の球団も長い目で選手を育成していかなければならない」と語った。

成鎮赫(ソン・ジンヒョク)記者
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