政府・与野党が韓中自由貿易協定(FTA)を国会で承認する条件として、農漁業支援に向けた1兆ウォン規模の共生基金創設で合意した過程で、資金を拠出する経済界の意見を集約せず、半強制的に同意を得ていた事実が明らかになった。「強制論争」が浮上したことを受け、政府が民間経済団体に「これ以上問題視しないでほしい」とかん口令を敷いていたことも分かった。
財界関係者は2日、「政府はFTA民間対策委員会に基金創設の必要性や創設方法について意見を求めず、先月30日の国会での承認が迫った時点で事実上一方的に決定を通知したようなものだ」と話した。
FTA民間対策委には、大韓商工会議所、全国経済人連合会(全経連)、韓国貿易協会、中小企業中央会、銀行連合会が加わっている。
民間対策委が国会での承認直前の30日午後3時ごろ、政府・与野党が韓中FTAの国会処理を歓迎する声明を発表したことについても、政府の要請を受けたものではなかったかという疑惑が浮上している。
民間対策委は声明で、「共生基金を前向きに評価する」と表明したが、実際にはやむを得ず同意する姿勢を示した格好だ。経済団体関係者は「民間対策委内部では歓迎声明を見合わせるべきではないかとの意見が出たが、やむなく『前向きに評価』という線で遠回しに表現する声明が作成された」と証言した。財界関係者は「政府の顔色を伺う立場なので、問題がさらに大きくなると我々も困る」と心境を語った。