ここ数年間で、「酒場」はずいぶん身近な存在になってきたと思う。吉田類、太田和彦といった酒場探究家が注目されるようになり、今までは入りづらいと敬遠されてきた大衆酒場が人気を集めたり、大手の飲食チェーンが積極的に居酒屋業態を取り入れたりと、居酒屋文化というものが日常の中でリーズナブルに楽しめるプチトリップといった役割にのし上がってきた感がある。
書店やコンビニで「居酒屋ガイド本」を見かける機会もグッと増えてきた中、「お酒」をテーマにした新たなムックが誕生するという。「酒場人」という雑誌がそれである。
この「酒場人」は、吉本ばなな、ラズウェル細木、U-zhaan、かせきさいだぁ、吉田戦車などなど、多方面から著名人がゲスト参加し、お酒や酒場との付き合い方について語っているのが特徴。ガイドブックとも、専門誌とも違った切り口になっている。この雑誌の監修をつとめるのは"パリッコ"さん。一風変わった名で活動するミュージシャン/ライターである。今回はそのパリッコさんに、このような雑誌が生まれた経緯やその見どころについて話を聞いた。
――パリッコさんのプロフィールというか、何者かを教えていただいてもいいですか?
「もともとはハウスなどのDJ、ミュージシャンとして活動していて、そこから派生的に、イラストや漫画など、その他の表現活動にも手を広げ、現在は酒好きが高じ、酒場に関する記事を各種媒体に書かせてもらっている、いわゆる『居酒屋ライター』としての活動も多くなっているという。つまりは、何でも屋です」
――さまざまな活動をしているなかでも居酒屋を飲み歩いてレポートするのが中心になっているそうですが、どれぐらいのペースで巡っているんですか?
「居酒屋マニアの方とか、もっと詳しい、毎日はしご酒で何件も回られるような方からすると、全然だと思います。あくまで自分のペースでというか。無理はしないというのが信条で。飲みに行くと何軒かハシゴしたりもするので、そう考えると、1日1軒くらいのペースになると思うんです。…