new_P1030877
左から、関常幸氏(南魚沼市議会議長)、橋本久美子氏(橋本龍太郎元首相夫人)、長島忠美衆議院議員。於:ほてる木の芽坂

21世紀は、愛と友情とふれあいを生活基盤において生きる時代ともいわれています。それは、この地球上に争いのない平和な地球コミュニティーを創造するために、その実現に向けて行動を起こす時代を迎えたことを意味します。実現のためには、人と人との関わり方などのボランティア体験活動が必要ですが、今の学校生活では十分とはいえません。

今回は、ホテル経営にボランティア活動を導入している「ほてる木の芽坂(新潟県六日町)」、代表取締役女将・発地満子氏に話を伺いました

●ボランティア活動を支援する意味

---ボランティア活動を導入しようと思った経緯を教えてください。

発地満子氏(以下、発地) 私たちの身近な問題として、家族間の絆が希薄になり、学校では学級崩壊が多発し、社会では人間不信によるストレスの恒常化が青少年を自殺に追い込み、子どもたちの未来に暗い影を落とし始めるなど多くの問題が散見しています。

それを考えると30年以上にわたりボランティア活動を取り組んでいる東京の障害者支援団体である「アスカ王国」が定義つけている言葉に心を引かれずにはいられません。アスカ王国とは「障がいのある人たちの完全自立と平等を目指した仮想王国」です。

この活動は1976年の国連総会が採択した「国連障害者年'81」の記念事業として企画された、次代を担う青少年のボランティア体験活動です。その目的は、国際年のテーマでもある、障害者の「完全参加と平等」を実現する社会づくりにありました。

設立以来、ノーマライゼーション社会の実現のため、全国30都市で総数15,000名以上の参加者を集いながら、ボランティア活動を通じた様々なプログラムを提供してきました。その活動は、各地方自治体、大学教授、政治家等の数多くのオピニオンから支持をされています。

活動の母体となるアスカ王国の初代会長は、日本ユニセフ協会の設立に尽力された故橋本正氏(橋本龍太郎元首相・橋本大二郎前高知県知事ご母堂)でしたが、今日では橋本久美子氏(橋本龍太郎元首相夫人)が二代目会長に就任されて、子どもや障害者、若者の先頭に立ち活動をしています。

●障害者の支援の難しさと実態

---ボランティア活動を導入する際の留意点があれば教えてください。

発地 先代社長(故発地信博氏)が地元観光協会の理事長をしていたことも影響しているのですが、ホテルのサービスレベル向上のためにはボランティア教育が重要であると考えていました。その一環として、同団体の活動を2000年から受け入れています。

障害のある人たちが社会生活を営むためには様々な壁がありました。「物理的な壁」や「制度上の壁」は、政治や行政でも取り除くことができますが、社会側に根付いている偏見や差別などの「心の壁」を取り除くためには長い年月が必要でした。

毎回、障害者と健常者が300名近く参加しますが、既に当ホテルでは9回ほど開催しており、今年の開催で10回目となります。地元を巻き込んだ活発な活動で、行政や市議会、学校関係者や障害者施設、多くのメディアが注目します。社員を含めた参加者の啓蒙はもちろんのこと、多くの副次的効果も期待できます。

当ホテルでも、定期的に開催する大衆演劇などでは地元福祉施設や特別支援学校を招待するなど、地元との関係性がつくりやすくなりました。いまでは、他の障害者団体の受け入れも可能となりました。

当ホテルでも、障害のあるなしに係わらず、次代を担う青少年に対して共通の体験による交流活動をおこなうことにより、人々が健やかに生活できる地域社会づくりと福祉国家の発展に寄与することを目指したいと思います。

---ありがとうございました。

1972年に米国ペンシルバニア州裁判所は「障害の如何を問わず、すべての子供はその能力に応じて教育を受ける権利を有する」(PARC判決)と宣言しています。これは、差別的な教育に対する是正を求めたものであり、教育のダンピング(教育の放棄)を招く危険性があることへの警告です。

内閣府の平成26年度障害者雇用状況によれば日本における障害者数は、身体障害者366.3万人(人口千人当たり29人)、知的障害者54.7万人(同4人)、精神障害者320.1万人(同25人)であり、国民の6%が何らかの障害を有するとしています。障害者政策は私たちにとって喫緊の課題でもあるのです。

追伸

今年は、永らく活動をご支援くださった、野上芳彦氏(京都精華大学名誉教授)、発地信博氏(ほてる木の芽坂社長)、高橋伸明氏(元トランザム)の訃報に接しました。謹んで哀悼の意を表します。

尾藤克之
経営コンサルタント/ジャーナリスト

のほかの記事を読む