欧州と中東の十字路に位置し、北方のロシアと相対する北大西洋条約機構(NATO)の一員にして、欧州連合(EU)の加盟候補国。そのトルコは今、欧州の人々が最も関心を寄せる2つのドラマの中心舞台だ。ひとつはシリア難民危機。もうひとつは、パリからベイルートに至るまで、外国の敵に攻撃を繰り広げる過激派組織「イスラム国」(IS)の脅威だ。
■もの足りない有志連合への参加姿勢
トルコは文字通りの最前線で、ISの戦闘員はトルコ領内からシリアに入り込み、シリア難民はトルコを経てEUへ逃れている。今夏以降、ISはトルコで自爆攻撃を3回起こしている。トルコは、イラクとシリアでISと戦う米国主導の有志連合の正式な一員だが、その参加姿勢はもの足りない。EUは、トルコのエルドアン大統領の強権体制が法の支配と表現の自由を踏みにじるのを黙認し、すでに220万人のシリア難民を流け入れているトルコに今後も難民の波を受け止める役割を果たしてもらえるよう、取引を交わしたばかりだ。
そのトルコがいかにあやふやな同盟相手であるか、この1週間の劇的な事件が浮き彫りにしている。まず、トルコ空軍が領空侵犯したロシア軍機を撃墜した。次に、トルコに残る五指にも満たない独立系新聞の1紙「ジュムフリエット」のジャン・デュンダル編集長とアンカラ支局長のエルデム・ギュル氏が、スパイ容疑で逮捕された。そしてさらに、著名な人権派弁護士タヒル・エリチ氏が、住民の大半をクルド人が占めるトルコ南東部で射殺された。いずれの事件も、トルコがISとの戦いに消極的で、代わりにシリア国境内外でクルド独立派勢力と戦っていることを改めて思い起こさせる。
ISが10月にアンカラで起こした爆破テロは、トルコ南東部で治安部隊とクルド人武装勢力との戦いが再燃したことに抗議していたクルド人活動家102人の命を奪った。しかし、トルコ政府はISの容疑者を逮捕しただけで、直接的な対応行動は何もとっていない。しかも比較的最近まで、ISの要員はかなり簡単にトルコ領内に入ることができた。これに対し、ロシア軍機の領空侵犯は許すことのできない国家主権の侵害と見なされた。ロシア軍機は9月以降、シリア領内でアサド政権に対する反体制派の進攻を食い止めるために配備されている。
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