【シリコンバレー=兼松雄一郎】米ヤフーが広告や検索など中核のインターネット事業の売却を検討し始めた。業績不振が長期化しているためで、就任後4年目に入ったが目立った実績のないマリッサ・メイヤー最高経営責任者(CEO)の退任観測も強まっている。本業を売って新規事業に乗り出すことを検討する一方、投資会社のような業態で生き残る道も選択肢に入ってきている。
同社関係者が明らかにした。米メディアによるとヤフーは2~4日の日程で開く取締役会で売却を検討するとみられる。
同社は今年1月、保有する中国・アリババ集団株を本体から切り離し、株式保有目的の新会社を設立すると発表した。業績低迷に不満を抱く株主に対し、メイヤー氏は節税しながら売却益を得る仕組みだと説明。だが税務当局の承認を得ることができず、株主から撤回を求める声が強まった。そこでアリババ集団株の売却を保留し、中核事業の売却を模索し始めた。
パソコン向けサービスが主力だったヤフーはスマートフォン(スマホ)対応が遅れ業績が低迷。スカウトされた米グーグル出身のメイヤー氏は就任以来、不振打開を狙いスマホ向けにサービスを展開するベンチャーを次々買収した。だが革新的なサービスを生み出せず、広告事業の成長率は同業他社を下回る。幹部の離職も加速している。
米ヤフーの企業価値の大半はアリババ集団と日本のヤフー株など保有株が占める。中核事業は市場からほぼ無価値と判断されている状態だが、スポーツや金融の情報サイトとしては根強いファンが存在するため、売りに出れば買い手は簡単に見つかるとみられる。アリババ株の売却保留は同じく売却する方向だった日本のヤフー株の処分にも影響を与えそうだ。