米アップル、もうからない個人間決済サービス参入計画するのはなぜか
2015/12/03 09:09 JST
(ブルームバーグ):シリコンバレーはアプリを利用した個人間の決済サービス事業に夢中だ。手数料はごくわずかか無料で、ほとんど利益にはならない。利用者が多いのは米ペイパルやその傘下のベンモだが、米グーグルやフェイスブック、スクエアなどの競争相手が続々と参入している。
米アップルも参入を計画している。個人間決済機能を同社のモバイル決済サービス「アップルペイ」に付与する計画について複数の銀行と協議していると、事情に詳しい関係者が先月、ブルームバーグに対して明らかにした。アップルが競争力を持つためには、デビットカードでの利用を無料にする必要があるとアナリストらは指摘する。
調査会社クローン・コンサルティングは、個人間決済サービスの事業コストは安くなくアップルは多くの取引で損失を出す可能性があると指摘。アップルにかかるコストは、新規口座(通常、デビットカード付き)の開設と認証で1口座当たり50セントから3ドル、さらに取引1件当たり最低25セントと分析した。
アップルがこのサービスそのものから直接利益を得る道を模索する可能性は低い。代わりに、恐らく同サービスを使ってアップルペイの採用店舗を増やすことを目指す公算が大きい。アップルにコメントを求めたが返答はなかった。
米国で携帯端末を利用して個人間の送金を手掛ける市場(75億ドル=約9200億円規模)ではアプリに不自由はしないが、アナリストはアップルの将来性に対して強気で、一部はクレジットカード会社と現金自動預払機(ATM)製造会社への副次的な影響を予想している。
原題:Why Apple Wants to Get Into the Unprofitable World of Payments Between Friends(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ポートランド Olga Kharif okharif@bloomberg.net
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更新日時: 2015/12/03 09:09 JST