訪日観光客数が年間2000万人近い空前の規模へと迫り、宿泊施設の不足が深刻化する中、一般住宅に有料で客を止める「民泊」がにわかに注目を集めている。規制緩和されれば、年間10兆円の経済効果をもたらす試算も出ているが、民間を含めた議論は百家争鳴の様相を呈している。観光立国という大目標の中にどう位置付けていくのか。政府・与党が進める検討の行方はまだ定まっていない。
東京都江東区の湾岸地区に建ち、最上階にプールやバーラウンジなどの共用施設を備えた33階建ての高級分譲マンション「ブリリアマーレ有明」(1085戸)。住民らが作る管理組合は、昨年改正した管理規約で民泊の排除を明確化している。
「不特定多数の人が出入りすれば安心な生活が損なわれ、マンションの資産価値にも響く。それを未然に防ぎたかった」と星川太輔理事長。規約は公式ブログで公開しており、先行事例として他のマンション管理組合が参考にするケースも多い。
民泊とは、自宅やマンションの空き部屋を、インターネットの仲介業者などを通じて有料で提供するサービス。設備投資や人件費をかけずに高い収益が上がるうま味から、所有する物件を賃貸から民泊に回す所有者が増え、近隣住民とのトラブルも頻発している。
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