【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は2日、ワシントンで講演し、「経済指標は想定通り改善している」と述べ、12月15~16日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で9年ぶりの利上げに踏み切る可能性を改めて示唆した。利上げ後の政策運営は「緩和的なスタンスを保つだろう」と指摘し、緩やかな引き締めペースになるとの見方を強調した。
イエレン氏は「経済データ次第だが、FOMCは年内の利上げが適切だと指摘してきた」と述べた上で「米経済は来年、再来年と雇用をさらに改善させる十分な成長力がある」と主張した。10月の前回FOMC以降の経済データも「雇用改善が続くという我々の見通しと矛盾していない」と指摘し、次回FOMCでの利上げの可能性を強くにじませた。
金融市場は9年ぶりの利上げをほぼ確実視しており、焦点はゼロ金利解除後の政策運営に移っている。イエレン議長は「もちろん緩和的スタンスが続く」と強調し、緩やかに引き締めていく考えを示した。利上げを急ぎすぎれば景気回復の妨げになるとも指摘した。
景気のリスク要因としては、ドル高による輸出不振や資源安によるエネルギー部門の投資減少を挙げた。雇用情勢も、失業率に含まれない非労働力人口が増えていることを指摘し「まだ完全雇用に達したとはいえない」と述べた。
ただ、家計部門は金融緩和の効果で好調を保っており「とりわけ新車販売は高水準だ」と強調した。海外経済の下振れリスクも夏時点に比べて減退したと述べ、景気拡大が続くことで労働環境も「完全雇用に達する自信がある」と指摘した。物価上昇率はFRBが目標とする2%に達していないが、原油安やドル高の影響が薄れれば「数年で達成できる」と自信をみせた。
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