ゲノム編集の人間への応用について科学者らが議論する国際会議が、今月1日、米ワシントンDCで開幕した。ゲノム編集の「受精卵」や「人胚」などへの適用を中心に、「遺伝子治療」や「規制の在り方」などが広範囲に議論される見通しだ。
参照:INTERNATIONAL SUMMIT ON HUMAN GENE EDITING
従来の「遺伝子組み換え」とは、どこが違うのか?
ゲノム編集は、今、おそらく(単に生命科学界のみならず)科学界全体でも最大の注目を浴びている革命的な技術だ。それは、いわゆる遺伝子操作技術の最新型である(厳密には遺伝子を含むゲノム(全遺伝情報)を操作する技術だ)。
もちろん遺伝子を操作する技術自体は、かなり以前から存在した。たとえば私たちが日頃、新聞やテレビなどで目にする、「遺伝子組み換え」などと呼ばれる技術は1970年代に開発されたものだ。ただ、従来の遺伝子組み換え技術では、その操作精度が極めて悪く、「100万回に1回」程度の成功確率でしかなかった。
これに対しゲノム編集、中でも2012年頃から急速に台頭してきた「Crispr-Cas9(クリスパー・キャス9)」と呼ばれる最新の技術では、バクテリア由来の特殊な検知能力を駆使することにより、その成功確率が(少なくとも現時点で)「5回に1回」程度と飛躍的に向上した。
その結果、従来の技術では狙った遺伝子を組み換えるのに最短でも1年以上かかっていたが、Crispr-Cas9では「数日」にまで短縮された。その期間は今後、さらに短縮されると見られている。
※Crispr-Cas9については、以下の記事を参照:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45940
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