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【はじまりは大阪(3)】
あらゆる酒が好き 黒光りする柱眺めつつ飲む友人…ノンフィクションライター 井上理津子さん
ノンフィクションライター、井上理津子さん(59)は拠点を東京に移した。だが、いつも気になっていたのは「大阪」のことだった。(聞き手 池田祥子)
古き面影残す店
--平成22(2010)年には、東京に拠点を移されました
井上 大阪にいてたら食べていけなくなるわと思ったころが、気持ち的にはしんどかった気がします。本当に仕事なくなっていったもん。「月刊大阪人」といった大阪発の雑誌がなくなり、仕事の半分以上は東京のクライアントになっていったから。
--経済的にも大阪は地盤沈下が指摘されています
井上 私たちライターにとっては企業のPR紙の存在ですよ。PR紙って、おいしかったんですよね。それが、大阪から企業がなくなっていって、PR紙もどんどん大阪から消えていったでしょ。ある意味、大阪から閉め出されたのかもしれへんという気はしますよ。ただね、ちょっと他も見たくなったという気持ちもありました。
--時代の波か、「大阪下町酒場列伝」(平成16年、筑摩書房)で取り上げたお店も閉じたところが多いですね