あなたには労働基準法を超過したサービス残業・未払い残業代を請求する権利があります

賃金請求権は2年間有効です

賃金請求権は2年間有効です。すなわち、過去2年間分の未払い残業代を請求できます

労働基準法第115条には、「賃金(退職手当を除く)や災害補償その他の請求権は2年間」と定められています。

労働基準法第115条(時効)
この法律の規定による賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

つまり、残業代を含めた賃金の請求権は2年経過をもって時効により消滅しますので、逆説すれば、あなたには、過去2年間分の賃金を請求する権利があるということになります。
(退職手当の請求権に限っては、5年経過をもって時効により消滅)

過去2年間の定義は?いつから、いつまでを指すのか?

残業代バンクにご相談してこられる人の多くは、「過去2年分の賃金を請求できる」ということは知っています。
しかし、2年間の正しい定義を知っている人は少ないため、具体例を挙げて解説します。

あなたの給与支給日(給料日)が毎月25日であった場合の時効例

2010年8月25日に支給されるはずであった賃金の請求権は、2年後の2012年8月25日に時効を迎え、消滅します。
つまり、給与支給日を基準として、請求権の発生と、時効による消滅が繰り返されるということです。


賃金請求権の時効は、給与支給日を基準とした、1ヵ月単位で推移する。

さて、あなたはこう思ったかもしれません。

「残業代請求(相手方との交渉)に時間がかかってしまったら、その間にも、どんどん請求額が消滅していくってこと?」

確かに、前述の労働基準法第115条では、請求中の時間経過については触れられていませんし、請求中も時効が進行するとすれば、相手方が意図的に(悪意をもって)交渉を長引かせ、請求額(支払額)を消滅(減額)させるような事態を認容することになってしまいます。

ですので、そのような理不尽な事態を防ぐために、民法によって「時効の中断(停止)」という制度が定められています。

時効の停止(中断)とは?

前述の通り、残業代請求の交渉が長引いたがために請求額が消滅(減額)してしまうというような理不尽な事態を防ぐために、「時効の中断(停止)」という制度が定められています。

「時効の中断(停止)」とは、読んだままの意味ですが、進行している時効を、ある事由をもって中断(停止)させるということです。

さて、時効、及び、時効の中断(停止)については、主に民法第7章(時効)第1節にて定められていますが、ここでは残業代請求に大きく係るものだけを解説します。

民法第147条(時効の中断事由)
時効は、次に掲げる事由によって中断する。

  1. 請求
  2. 差押え、仮差押え又は仮処分
  3. 承認

民法第153条(催告)
催告は、6ヵ月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事事件手続法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。

残業代請求という紛争類型に置き換えて解釈すると、次の通りです。

内容証明郵便によって相手方に「私に対する未払い賃金が残っています。きちんと支払ってください」という請求(催告)することで、時効を6ヵ月間中断(停止)することができます。

内容証明郵便とは、簡易ではありますが、「誰が?」「いつ?」「どんな内容の?」手紙を出しのかを郵便局が証明しているくれる郵送方法であり、民法第147条における請求、並びに、民法第153条における催告、としての効力を持ちます。

時効の中断(停止)が法的に認められるためには、内容証明郵便が相手方に到達してから6ヵ月以内に裁判所に提訴することが必要ですが、これについては後述しますので、ここでは無視してください。

ここまでを、前述の具体例に、時効の中断(停止)を含めて解説します。

あなたの給与支給日(給料日)が毎月25日であった場合の時効例(時効の中断含む)

時効の中断(停止)をしなければ、2010年8月25日に支給されるはずであった賃金の請求権は、2年後の2012年8月25日に時効を迎え、消滅します。

しかし、(時効を迎える2012年8月25日の前日である)2012年8月24日中までに、内容証明郵便による請求(催告)が相手方に到達したとすれば、到達後6ヵ月間は時効が中断(停止)しているため、2010年8月25日に支給されるはずであった賃金について請求(交渉)することができます。

賃金請求権は2年であること、時効、時効の中断(停止)、内容証明郵便などを含めて、アクションレベルに落とし込むと?


内容証明郵便による請求(催告)が相手方に到達してから最大5ヵ月程度は、裁判所外での示談交渉を行い、一向に和解の兆しを見出せない場合には、裁判所への提訴に踏み切るという流れが好ましい。

但し、次のような点に留意しながら、ケースバイケースで交渉の戦術を検討する必要があります。

  • 労働基準監督署への申告は、裁判所への提訴とは異なります。
    ですので、労働基準監督署への申告も戦術とする場合には、裁判所外での示談交渉期間(最大5ヵ月程度)中に、申告から、労働基準監督署による調査、結論付けまでを完遂させる必要があります。
  • これまでは内容証明郵便による請求(催告)というイメージだけで、心理的な圧力も与えることができていました。しかし、2011年8月頃から、いわゆる残業代請求ブームも助けてか、内容証明郵便による請求(催告)を無視する会社も散見されます。
    ですので、内容証明郵便というイメージで圧力をかけるのではなく、その内容(法に則った文面)で圧力をかける必要があります。

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