3勝を挙げたワールドカップでの活躍で、一躍「時の人」に。重圧と恐怖を乗り越え、ピッチに立ち続けることでチームを引っ張った。ラグビーを文化にする使命を担い、世界最高峰のリーグに挑む。
(聞き手は 本誌編集長 飯田 展久)
グラウンドで表現し続けるのが自分の役割。
根気強さとプライドの相乗効果で代表は強くなった。
ラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表は3勝を挙げました。2019年にW杯が日本で開催されることもあって、かなり大きなプレッシャーがかかっていたのではありませんか。
五郎丸:開幕の1週間くらい前から、毎日、同じ夢を見ていたんですよ。W杯の1次リーグで全敗して、成田空港に到着する夢です。試合の本番でも、失敗するイメージばかり。普段はポジティブ思考で、他人の言うことは気にしないタイプの自分が、そんなふうになるとは思いませんでした。
W杯への恐怖心があったのでしょう。今回、結果を残さなければ、2019年の日本大会の成功はない。そんな大きなものを背負っていたんですね。
それだけの恐怖心を、どうやって乗り越えたのでしょうか。
五郎丸:開幕前、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)がこんなことを言っていたんです。2011年のW杯について、出場した選手の多くが「覚えてない」と言う。ほんの一握りの選手だけが得られるW杯の経験を、勝ち負けだけで消すのはもったいない。1日1日を大切に過ごし、記憶にとどめてほしい、と。
その言葉を聞いて、僕は毎日、日記を付けることにしました。その時に思っていることやチームの状態、これから何をしなければならないか──。正直に書きました。