LNGで過剰調達の恐れ、需要予測を上回る長期契約量-経産省
2015/12/02 17:20 JST
(ブルームバーグ):電力会社やガス会社など国内の液化天然ガス(LNG)の需要家が締結したLNGの長期契約の数量を積み上げると、政府や国際エネルギー機関(IEA)の需要予測を上回り、調達が過剰になる可能性があることが明らかになった。2017年からオーストラリアや米国の輸出事業からの輸入が始まる一方で、原子力発電所の再稼働などでLNG需要の減少が見込まれていることが背景にある。
ブルームバーグが入手した経済産業省主催のLNGマーケット研究会での配布資料で明らかになった。この資料によると、長期契約に基づくLNGの調達量は17年にピークの約9500万トン、18年に約9000万トン、19年と20年にはそれぞれ8000万トンを超える水準となる見通し。
財務省の統計によると、日本のLNG輸入量は東京電力福島第一原子力発電所の事故以前の10年までは7000万トンを下回るレベルだったものの、14年は年間を通じて全原発が停止していたために過去最高の8850万トンに膨らんだ。IEAは20年の日本のLNG需要が7200万トンになるとの見通しを示しているほか、政府も30年に6200万トンまで減少すると予想しており供給過剰が生じる可能性が浮上している。
コンサルティング会社クラヴィス・エナジー・パートナーズの玉水順蔵代表は、長期契約の一部には購入したLNGの転売を売り主が制限する決まりのないものもあり、「全ての契約数量が日本やアジアに供給されるとは限らない」と指摘。従来は主に買い手だった電力やガス会社などは、国内の需給バランスを調整するため第三者にLNGを転売する「体制作りに乗り出す」との見方を示した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 占部絵美 eurabe@bloomberg.net;東京 稲島剛史 tinajima@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:岡田雄至 yokada6@bloomberg.net 中川寛之
更新日時: 2015/12/02 17:20 JST