「事業売却して自家用飛行機も処分、ついに主将まで売った!」
先月30日、韓国プロ野球サムスン・ライオンズの三塁手・朴錫ミン(パク・ソクミン)選手がフリーエージェント(FA)を通じ過去最高額で球団を去るというニュースが伝えられた時のファンの反応です。「本拠地のスター」であり、チームの主将を他球団に奪われた悔しさから出た言葉でしょう。
韓国プロ野球におけるFA市場の状況は、最近の大企業間における「ビッグディール」によく似た流れになっていて興味深いものがあります。昨年から今年にかけて化学・防衛産業事業部門を売却したサムスンはプロ野球界でも「売り手」となり、サムスンから事業部門を買い取ったハンファとロッテはプロ野球FA市場でも「大物級選手」を相次いで獲得した「買い手」になっているということです。
サムスン・ライオンズが朴錫ミン選手を手放した日、ハンファ・イーグルスは今年FA宣言した投手の中でも超大物のSKワイバーンズ鄭ウラム(チョン・ウラム)選手と契約し、ロッテは韓国プロ野球リーグ最高の抑え投手の一人、ネクセン・ヒーローズの孫勝洛(ソン・スンナク)を獲得しました。
サムスン・ライオンズは優勝を目指していた1990年代末-2000年代初めごろ、金杞泰(キム・ギテ)、金東洙(キム・ドンス)、李強喆(イ・ガンチョル)選手ら特A級クラスの選手を次々と獲得するプロ野球選手市場の「買い手」で、ライバル球団のトップだった金応竜(キム・ウンヨン)監督まで引き入れました。家電でソニーの牙城を崩し、携帯電話のノキアを押しのけた時のように思い切った行動でした。
ところが、最近のサムスンを見ると、事業でもプロ野球でも以前のような覇気が感じられません。今年まで5年連続で公式戦1位になったプロ野球チームなのに、毎年スター選手が流出し、事業でも売却・構造改革説が飛び交っています。一方、辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)韓国ロッテグループ会長の主導で今年だけで7兆5000億ウォン(約7970億円)を企業合併・買収(M&A)などにつぎ込んだロッテや、金升淵(キム・スンヨン)会長が経営に復帰して攻撃的な経営を展開しているハンファは、プロ野球でも大規模な契約をして躍進しています。
未来を見通す事業構造改革は不可欠です。プロ野球選手たちの契約金・年俸もバブルになっているとの声も多く寄せられています。
しかし、「起業家精神」で武装して新たな市場に参入、世界的な大企業と競い合ってきたサムスンらしさが最近は見られないのも事実です。「1位企業サムスン」がワイルドで活気に満ちた姿を取り戻すよう期待したいと思います。