北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の叔母に当たる高英淑(コ・ヨンスク)氏が、韓国在住の複数の脱北者に名誉を傷つけられたとして、損害賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に起こす予定であることが分かった。弁護士のカン・ヨンソク氏が1日に明らかにした。
高英淑氏は金正恩氏の実母である故・高英姫(コ・ヨンヒ)氏の妹で、金正恩氏のスイス留学中は金正恩氏の世話をしていたことでも知られている。その後1998年に米国に亡命し、今も現地で暮らしているという。
今回の訴訟は、カン弁護士が高英淑氏の夫であるイ・ガン氏と連絡を取り合って起こすようだ。イ・ガン氏は先日ソウルを訪れ、自分と妻のパスポートのコピーなど必要書類を添えて委任状を作成し、カン弁護士に手渡したという。
高英淑氏夫妻が訴えることにしているのは、韓国国内のテレビ番組などによく出演する3人の脱北者だ。3人は出演した番組で「高英姫の父親は親日活動をしていた」「金正男(キム・ジョンナム)=故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男=を追放したのは高英淑だ」などと発言し、高氏夫妻の名誉を傷つけたという。高氏夫妻は3人に対して1人当たり1000万ウォン(約106万円)、合計3000万ウォン(約320万円)の損害賠償を請求する予定だという。
ちなみに民事訴訟は当事者が裁判に出席しなくてもよく、弁護士が代理となって進めることができる。また外国籍であっても韓国国内で被害が発生した事実さえ証明できれば、韓国の裁判所に訴えを起こすことが可能だ。