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 旭化成建材の杭工事データ偽装問題で、同社は13日、過去10年の杭工事3040件のうち2376件で調査を終え、266件にデータ偽装があり、現場責任者50人以上が関与したと発表した。国土交通省は物件の安全確認を同社に指示。建設業法違反の疑いで同社を調べている。

 同社は国交省に報告した後に都内で記者会見し、親会社の旭化成の平居正仁副社長は「これだけ多くの人が関わり、見逃してきて申し訳ない」と謝罪した。

 偽装は35都道府県にあり、東京が最多の51件、神奈川が30件、北海道と埼玉が26件だった。建物の用途別では、工場・倉庫が66件で、マンションなど集合住宅が61件、医療・福祉施設35件、学校28件、事務所20件、公共施設15件、商業施設9件、土木3件などだった。

 現場責任者らは機器の不具合などで杭工事データを紛失した際、施工報告書を整えるために別の杭データを転用していたという。ほとんどは外部からの出向社員だった。現場責任者は全体で約180人おり、4人に1人は偽装に関与したことになる。

 偽装が判明した物件について、国交省は今後、①偽装があったが杭は固い支持層に到達②到達していないが安全性は確保③到達しておらず安全性に問題がある、の3類型に分類する。石井啓一国交相は「安全性に問題があるものを明白にする必要がある」とし、元請け業者の安全確認への協力を旭化成建材に指示した。書面や作業員の証言で安全性を確認させ、疑いが残る物件はボーリング調査を求める。

 旭化成建材は、調査中の残り546件は24日までに国交省に報告するが、元請け業者が不明の118件は見通しが立っていない。国交省は、偽装が建設業法に抵触した疑いがあるとし、行政処分を検討している。

■偽装された266件の用途別内訳

工場・倉庫(66)、集合住宅(61)、医療・福祉施設(35)、学校(28)、事務所(20)、公共施設(15)、商業施設(9)、土木(3)、その他(29)