国防科学研究所(ADD)は6日、大田市内にある研究所本部で国防部(省に相当)担当記者らに韓国型戦闘機(KFX)に搭載されるアクティブ電子走査アレー(AESA)レーダーの実物を公開した。2006年から開発が進められてきたが、開発自体が「極秘」だったため公表されなかったはずのものが、この日はデモンストレーションまで行われたのだ。ADDの関係者は「試験開発段階を基準にすると、このAESAレーダー技術は米国製の75-80%のレベルは確保している」と説明した。
ADDは今回、同じく極秘に開発が進められてきた赤外線捜索・追跡(IRST)システムや電子光学標的追跡装備(EO TGP)、電磁波妨害装備(RF Jammer)などもメディアに公開した。これらはいずれもKFXに搭載されるものばかりだ。ADDが「機密流出」などと批判を受けるのを承知でこれらを公表した意図は、KFX関連技術移転問題の批判をかわすことにある。
米国政府は今年4月、KFX開発に必要な四つの機器とそれらを戦闘機に搭載する技術について、韓国への移転を拒否した。韓国軍は拒否された事実を公表しなかったが、9月の国会国政監査でそれが明らかになった。韓民求(ハン・ミング)国防長官は8月に米国防長官に書簡を送って技術移転を再び要請し、また10月の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領訪米時にも韓長官は再び米国防長官に会い、技術移転をあらためて要請したがやはり拒否された。すると韓国軍は突然「米国からの技術移転がなくともわれわれの力で開発は可能だ」として、これまで極秘に開発されてきたAESAレーダーを公表したのだ。
ところがその場に居合わせた取材記者たちは「AESAレーダーそのものではなく、AESAレーダーを戦闘機に搭載する技術の開発状況について説明してほしい」と求めた。米国に技術移転を断られたのはAESAレーダーなど四つの技術そのものではなく、それらを戦闘機に搭載するのに必要な一種のソフトウエア、これは「システム統合技術」と呼ばれている。しかしADDはこの日、システム統合技術については開発計画についてさえ言及しなかった。