日本の安倍晋三首相が11日、参議院で「新たな時代に見合った憲法について、国民的な議論が深まるよう努めていく」と述べた。安倍首相は前日、衆議院でも「国民の生命と平和な生活を守るためには(戦争を禁止した)憲法第9条を改正する必要がある」と発言した。今年9月、安全保障関連法を強行採決した後、しばらく経済政策に集中してきた安倍首相が、支持率が回復傾向にあるのを受け、憲法改正論議に火を付けようとしているとみられる。
一方、日本の右派団体も10日、東京都心にある日本武道館で、約1万1000人の支持者を集めて大規模な集会を開き、憲法改正を要求した。安倍首相はこの集会に「憲法改正に向けて共に歩んでいこう」というビデオメッセージを寄せた。巨大なスクリーンに安倍首相の顔が映し出され、肉声が流れると、割れんばかりの拍手が巻き起こった。朝日新聞はこの日の集会に、衛藤晟一・首相補佐官を含む安倍首相の側近数人が参加したと報じた。
この日の集会を主導した右派団体「日本会議」の田久保忠衛会長は最近、別の憲法改正に関する集会で「われわれがリードして(平和憲法を変える)けん引車になるべきだ」と主張した。同団体には衆参両院議員約280人と、右派の論客たちが参加している。同団体は、第2次大戦での敗戦直後、米軍を主体とする連合国軍の占領下でつくられた平和憲法が、日本の自尊心と国益を全て破壊したと主張してきた。
安全保障関連法の採決直後、安倍政権の内部では「こんなことでは来年の参議院議員選挙で負ける」という声と、「国民はしばらくの間怒りをあらわにするだろうが、そのうちに既成事実として受け入れるようになる」という声が同時に出ていた。最近の世論調査の結果は、後者の指摘が正確だったことを物語っている。今月初め、読売新聞が実施した世論調査の結果、安倍内閣の支持率は51%に達した。
武道館での集会に1万1000人が集まった日、東京都内の別の場所では憲法改正に反対する集会も行われたが、朝日新聞によると、出席者は国会議員5人と弁護士、学者、市民など約80人にとどまったという。