川村直子
2015年11月10日13時07分
七五三の縁起菓子、千歳飴(ちとせあめ)が店先を飾る季節。戦前からほとんど変わらぬ製法を続ける下町の飴店では、金太郎顔の「千歳飴」を、職人たちが子どもの元気な成長を願って練っている。
「味が全然違うんだ。あめが空気を含んでるから軟らかくて、それでいてサクサクッとして。口の中で優しく溶けるんだよ」。東京都台東区の「金太郎飴本店」5代目社長、渡辺鉄男さん(74)は手作りの良さをそう語る。
細い棒状になる前のあめの大きさは直径35センチ、長さ70センチ、重さ約45キロ。顔を形作る60以上のパーツが同じ軟らかさになるよう、職人たちがあめの温度を手で確かめながら作る。硬すぎると伸びず、軟らかすぎると崩れる。パーツを組んでつくる金太郎飴は、すべてがいいあんばいでないと、きれいな顔の形のまま伸びない。
長く伸び、どこを切っても同じ顔の出てくる金太郎飴は、かつて光ファイバー開発のヒントにもなった。一家族の子どもの数が減った近年は、細かく切ったタイプが人気という。「職人たちが気持ちをそろえて組み上げて、ひとつのあめができる。子どもたちが、どうやってできるの、って不思議がってくれるとうれしいね」と渡辺さん。あめは、全国の神社や幼稚園、写真スタジオなどにも出荷されている。(川村直子)
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