【週刊オルフェンズを読み解く】とは?:【週刊オルフェンズを読み解く】第0話 機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズを全話読み解く連載記事 - せまひろかん
第5話あらすじ
鉄華団はクーデリアを地球へと送り届ける仕事を開始する。その最中、トドとオルクス紹介の策略によりギャラルホルンの襲撃を受けてしまい、三日月がバルバトスで出撃する・・・。
象徴
第5話の印象的なセリフは「地球に行けば月が見られるのかな」だろう。
月は厄祭戦で大きな被害を受けて今は霞んでしまっているとクーデリアは語るも、彼女自身も月を見たことがない。
この作品は地球と搾取により火星に貧困が蔓延している設定である。
作中では幾度となく地球と火星の対比が行われている。
自由なき生活を強いられる。安値で買いたたかれるトウモロコシを収穫する。火星の人間は苦しみぬいて生きていることが描かれいる。
対して地球の人間はスーツを着て車を乗り回し、他人にチョコレートをプレゼントする余裕を見せている。
極端な形ではあるが、格差が描かれているわけなのだ。
第2話で「おっぱいに埋もれて死にたい」との発言があった。これと三日月の「月を見たい」との発言は同じ意味を持っている。
基本的に「普通」な人生を送っていれば、実現できる事柄だ。火星から地球へと移動することも出来るだろう。異性とふれあい事も出来るはずだ。
しかし、それを簡単には行えないのが火星の人間だ。貧困にあえいでいるから普通の生活ができない。地球の人間が思い描く普通は彼らにとって「希望」であるのだ。
普通に生活すれば大抵のことは成せることが、できない存在。
オルフェンズは「希望」で成り立つ物語だ。
クーデリアを地球に送り届けることも、自分たちの未来へとつなげるためだ。聖子するかは分からない賭けではあるが、この先には希望が存在している。だからやるしかないのだと、彼らは思っている。
彼らにとってクーデリアという存在は神のような存在なのかもしれない。自分たちをまともな生活へと導いてくれる象徴。火星独立運動のヒロインが、本当に火星を変革させる可能性があるのだ。
鉄華団の仕事は自分たちの未来だけでなく火星の未来を切り開くことにもつながる。
劇中で「ガンダムという名を冠した機体は歴史の節目に幾度となく現れて人類史に多大な影響を与えてきた」と語られている。
今まさにそれが起きようとしている。火星と地球の関係を変革させるためにガンダムが現れた。今回のガンダムは変革の象徴として君臨するのだろう。
おわりに
鉄華団の宇宙船が小汚い内装であったように、この作品は至る所で格差を印象付けてくる。
特にキャラクターたちの発言は、格差に深みを与えている。何気ない、普通な望みに聞こえるが、彼らはそれを簡単に叶えることが出来ない。それこそ格差の象徴と言えるだろう。
現実社会にもつながる格差の問題。ガンダムを駆使して彼らはどのように「普通」を勝ち取ってゆくのだろうか。
格差ガンダムの行く末から目が離せない。