非正規4割、新聞報道は調査名の明記を

厚生労働省の報道発表資料

非正規労働者の割合が4割を超えたことが報じられている。さて、これは何の調査であるのか、新聞報道からわかるだろうか?

各紙のネット記事を読み比べてみよう(太字は筆者による)。

■朝日新聞2015年11月5日

非正社員、初の4割 人件費抑制、背景に

厚生労働省が4日発表した2014年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」で、パートや派遣などの非正社員が労働者にしめる割合が初めて4割に達した。(後略)

■読売新聞2015年11月5日

非正規雇用、初の4割…厚労省調査

民間企業や公立病院などで働く人のうち、パートや契約社員など非正規労働者の割合が、昨年10月時点で初めて4割に達したことが4日、厚生労働省の調査で分かった。(後略)

■毎日新聞2015年11月5日

非正社員:初めて4割に上昇 パートや再雇用増

厚生労働省が4日に発表した就業形態の多様化に関する調査によると、派遣など正社員以外の労働者の割合は、昨年10月1日時点で40.0%で、前回2010年調査の38.7%から上昇した。(後略)

■産経新聞2015年11月5日

「正社員確保できない」

人手不足でパートなど活用の企業増える 厚労省調査]正社員を確保できないためパートや派遣社員など正社員以外の労働者を活用する企業が増えたことが4日、厚生労働省の調査で分かった。(後略)

■日本経済新聞2015年11月4日

非正規社員40.5%、「不本意」は減少 厚労省14年調査

厚生労働省は4日、2014年の就業形態調査を発表した。(後略)

■東京新聞2015年11月5日

非正規社員が初の4割 高齢者再雇用、パート増加

厚生労働省が四日に発表した就業形態の多様化に関する調査によると、派遣など正社員以外の労働者の割合は、昨年十月一日時点で40・0%で、前回二〇一〇年調査の38・7%から上昇した。(後略)

以上をまとめると下記のとおりだ。

●朝日新聞:  「就業形態の多様化に関する総合実態調査」

●読売新聞:  厚生労働省の調査

●毎日新聞:  就業形態の多様化に関する調査

●産経新聞:  厚生労働省の調査

●日本経済新聞:就業形態調査

●東京新聞:  就業形態の多様化に関する調査

朝日新聞の記事のようにカギカッコつきで調査の正式名称が明記されていれば、厚生労働省の調査結果紹介ページに容易にたどり着ける。

しかし、読売新聞・産経新聞のように「厚生労働省の調査」だけでは、どうだろうか。

今回の調査結果は厚生労働省の「報道発表資料一覧」に既に掲載されているが、調査によっては報道発表資料一覧には掲載されない場合もあり、また、記事の内容がどの調査によるものか、判別が容易ではない場合もあり、そういった場合、調査名がなければ見当をつけるのは難しい。

官庁の調査結果を紹介するときぐらい、調査名は記事に明記していただきたい。

できれば、「東大の調査」などという場合も、東大のどのチームが行ったなんという調査か、明記していただきたい。

さらには、ネット記事の特性を生かして、このヤフーの記事のように、調査結果へのリンクがついていれば、なお良いのではないか。

新聞社だけが情報を入手しており、一般人は情報源にたどり着けない、という時代ではないのだから、読者がより詳細な情報にたどり着くための入り口としての役割を、新聞報道は適切に果たしていただきたい。