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TPP 牛肉・豚肉・乳製品の一部 “価格下落も”
11月4日 17時01分

TPP 牛肉・豚肉・乳製品の一部 “価格下落も”
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TPP=環太平洋パートナーシップ協定の大筋合意を受けて、農林水産省は4日、畜産物や乳製品などへの影響をまとめました。それによりますと、牛肉や豚肉、一部の乳製品では長期的には価格が下落する可能性があるとしています。
農林水産省は、TPPの大筋合意を受けて、先月公表したコメや果物などに続いて4日、畜産物や乳製品、それに水産物の、合わせて19品目の輸入量と価格などへの影響をまとめました。

このうち、牛肉は、現在の38.5%の関税を段階的に引き下げ、16年目に9%となります。農林水産省によりますと、関税の引き下げによって、長期的には、外国産と競合する比較的安い肉用の雄の乳牛を中心に、国内産全体の価格が下落する可能性もあるとしています。

豚肉は、価格の安い肉にかけている1キロ当たり最大482円の関税を段階的に引き下げ、10年目に50円にすることから、長期的には国内産の価格が下落する可能性もあるとしています。

乳製品のうち、バターと脱脂粉乳については、原料の生乳に換算して7万トンの新たな輸入枠を設けますが、農林水産省では、無秩序に輸入されることはなく、牛乳も含めた乳製品全体の国内需給への影響はない見込みだとしています。
また、チーズでは、粉チーズとチェダーチーズ、ゴーダチーズは16年目に関税を撤廃するため、長期的には国内産の価格が下落することで、乳製品の原料となる生乳の価格も下落する可能性があるとしています。

農林水産省は、長期的に価格が下落する可能性がある品目については、生産規模の拡大などによってコストを減らすことや、品質の向上などによって、生産者の経営体質を強化するなどの対策を検討する必要があるとしています。

小泉農林部会長「きめ細かく生産者の声に耳傾ける」

小泉進次郎農林部会長は記者団に対し「農林水産省の分析をみると、『特段の大きな影響はない』などと過度な楽観につながることばもあったが、しっかりと不安に向き合って、きめ細かく何が必要なのか、生産者の声に耳を傾けていきたい」と述べました。また、小泉部会長は「農業者数や生産額、農家の所得は軒並み下がっており、今までのやり方ではいけない。今回の対策は決してばらまきと言われることがないような、国民の理解が得られるものにしなければいけない」と述べました。

焼き肉店「安い仕入れに期待」

TPPによって、輸入牛肉の関税が段階的に引き下げられることについて、焼き肉店の中には仕入れ価格が下がれば値下げも検討したいという店もあります。

このうち、首都圏で120店舗余りを運営する焼き肉屋チェーンは、牛肉のおよそ80%をアメリカやオーストラリアなどから輸入しています。東京・品川区の店舗に来ていた女性客は、2週間に1回は、家族で焼き肉屋を訪れているということで、「家計の負担が減るので安くなる分には、とても助かります」と話していました。また、58歳の男性客は「余裕があれば和牛を食べたいが、そうも言っていられないので、輸入牛肉の価格が下がるのであれば、お財布にはありがたい」と話していました。焼き肉チェーン「牛繁」の飯野公敏商品部長は「牛肉の価格は関税だけでなく、為替や需給によって変動するが、関税が下がって、仕入れ価格が下がるのであればお客さまに還元していきたい」と話していました。

畜産農家は不安と期待

TPPによる畜産物への影響について、島根県内の農家からは外国産の肉との価格競争が激しくなり、収益が圧迫されるという不安の声があがる一方、海外への販路を開拓するチャンスにするべきだという前向きな受け止めも出ています。

このうち、島根県江津市の牧場でおよそ1万頭の豚を飼育している山岸淳(48)さんは、TPPは養豚農家にとってマイナスの影響が大きいと感じています。将来的に豚肉の関税が引き下げられれば価格の安い外国産の豚肉に押され、経営が圧迫されると心配しています。山岸さんは「価格面では外国産の豚肉に太刀打ちできない。コスト削減には限界があり、経営を成り立たせられるのか、不安を感じる」と話しています。

一方、島根県内で最大の畜産農家、益田市の(ますだ)松永直行さん(58)は、TPPをチャンスにつなげるべきだと考えています。松永さんは経費の3分の1を占める餌代を安く抑えようと、国内の業者から仕入れたそうめんやバナナなどを混ぜて発酵させた独自の餌を開発しました。こうした経営の効率化と品質向上への努力によって競争力を高め、おととしからは香港やシンガポールなどに牛肉を輸出しているといいます。松永さんは「TPPによってアメリカなどに畜産物の輸出を増やす効果が期待できる。海外市場に打って出ることが今後の成長につながる」と話していました。

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