横浜総局 太田泉生
2015年10月15日13時02分
18歳以下の自殺は夏休み明けの9月1日が突出して多いという内閣府の調査を8月に報じた。26年前の自分を思い出しながら書いた記事だ。
当時12歳、小学6年。4月に転校したばかりの学校になじめず、登校するのが毎日憂鬱(ゆううつ)だった。夏休みが始まった時は心からほっとした。
だが8月中旬を過ぎると、再び気が重くなった。9月1日は腹痛を理由に欠席した。翌日も、翌々日も。雨戸を閉め切り家に閉じこもった。
両親には幾度も病院に連れて行かれたが、身体に異常はない。2週間ほど経った頃、学校に行きたくないのだと打ち明けた。「どうやって生きていくんだ」。両親は戸惑った。私に答えがあるはずもなかった。
死が頭をよぎった瞬間もあった。両親の言動など何かが違っていれば、私にもあり得たことだと思う。
だが両親は迷いながらも私の気持ちを受け止めた。どう生きるか、自分にも見えない中、最初に居場所になったのが近くの図書館だった。昼間に行って「学校はどうしたの?」と問われはしないか。でも午後に行って同級生に会うよりましだ。人目を気にしながら家を出た。
図書館で最初に読んだのは気楽なエッセー集。やがて星新一氏や筒井康隆氏に手を伸ばし、空想の世界に浸った。宮脇俊三氏や沢木耕太郎氏の旅行記は繰り返し読んで、見知らぬ土地を旅することを夢見た。
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