気分を害したらごめんね。ねむらないさめさん。いつも記事読ませてもらってます。
あなたのことを批判するわけではないし、攻撃しようとも思ってません。
この記事読んで、思い出したことを書きます。
わたしも、ねむらないさめさんと全く同じ小学生だった。
鈍くさくて、足が遅くて、ドッジボールとリレーは罰ゲームだった。30年以上も前なのに運動会のこと思い出すと頭の中が一瞬で暗転するのに今でもびっくりするよ。
小学生って残酷だもんね。異様に勝敗にこだわるし、ストレートだし、特にクラス内カーストのトップのイケイケ感たらないよね。そんな環境に全員参加の勝負事を持ち込んだらさあ大変。わたしやさめさんみたいなタイプは「わたしのせいで…」そんな小学生には背負いきれない謎の責任感に押しつぶされそうになっちゃうのもよくわかるよ。
でもわたし、小学校高学年の頃のドッジボール大会でのエピソードが今でも忘れられないんだ。
わたしの敵チームにいた水谷くん。体が大きくて運動はできるタイプだった。女子と積極的に話したり、目立つポジションではなかった彼にとって、ドッジボール大会は数少ない活躍できる場所だったと思う。ドッジでもスター選手っているでしょ?玉にキレがあってコントロール正確なの。水谷くんは普段派手さはないけれどドッジでは間違いなくスター選手だった。
わたしはその日も自分のチームの内野でビクビクしながら球を避け続けていた。内心、もう当たって外野にサッサと行っちゃいたかったんだよ。でも、試合事だからね、自分のチームが勝つために避け続けていた…というよりとにかく球が怖かった。鈍くさい子ってそんなもんだよ。まともにキャッチできないのわかってる、そしてボールが怖い一心なんだ。
そんな一瞬、わたしの敵チームの水谷くんにボールが渡った。わたしのチームは劣勢で、内野はだいぶ人が減ってきていた。わたしの周りの空白のスペース、水谷くんが手に抱えたボール。目が合った。多分わたしは怯えた目をしていたと思う。水谷くんがボールを構えた。
「当たる!」
わたしを狙っていたのは明らかだった。ドッジ界ではスターと雑魚ということはお互い自覚している。雑魚はさっさと内野から消去する、それがドッジボール界のルール。
しかし、球は逸れた。
明らかにわたしを避けてボールは誰もいないスペースへと飛んでいった。
わたしは拍子抜けした。そしてその後の試合の展開など今は覚えていない。覚えているのは目が合ったのに、敢えて角度を変えて、誰もいないスペースにボールを投げ込んだ水谷くんという小学生の男の子の存在だけ。
その後、水谷くんを好きになってしまって幼い恋に発展しました…
ということもない。
わたしの目がよほど怯えていて、かわいそうに思えたのだろうか。もう勝てる試合だから、雑魚を狙うこともないということだったのだろうか。あれから幼いなりに推測しなかったこともないけれど、水谷くんに直接尋ねることはしなかった。
何回か同じクラスになって言葉も幾度となく言葉も交わした彼。特別仲が良かったわけではないけれど人を不快にさせるふるまいは決してしなかった体の大きい男の子。そんな彼は小柄でやせっぽちの鈍くさい、怯えた目をした女子を敢えて攻撃しないという選択をした。スター選手だった彼のまだ男の子のくせに男らしい優しさを感じて、心が震えた。だってそんなの初めてだったから。無邪気に敵をやっつけるはずの男子が、そんなジェントルマンな振る舞いを見せるのは。
と、しょうもないドッジボールのエピソードはわたしの中で美しい物語に変換されている。
だから、いいじゃない、ドッジボール。そんな風に言ったら飛躍しすぎだけれど。
わたしにも小さな子供がいる。わたしに似て鈍くさい。リレーもドッジボールも本人に嫌な思いをさせるだけの競技かもしれない。でもそしたらこのエピソードを話すかもしれない。でもそれは甘い、美しい物語としてではなく「勝ち負け?それが全てではないよ」という意味合いで。そういうこともあるんだよ、と教えてあげるかもしれない。
子供の頃のリレーやドッジボールでできた心の傷?そんなのいくらでもリカバーできる。みんな来週には何も覚えていない。増してや1年後には大人になる過程でもっと重要なことにみんな気をとられて誰もおぼえちゃいない。あなたはあなたらしく一生懸命やればいい。もちろん辞めたかったらドッジもリレーも休んでいい。でもおばさんになったママが思うのはそんなの大したことじゃないってこと。そりゃママだって苦しかったよ、みんなが白い目で見てるって、先生も真面目にやれって思ってるんだろうなって。でも本当にそうなのかな?
あなたのことを優しい目でみてくれる人は本当に一人もいない?少なくともママはわかってるよ。鈍くさくても、走るのが遅くてもあなたが一生懸命小さな胸を痛めてやってるってこと。それでいいじゃない。そんな謎の責任感を感じなくてもいいってママは大きな声で言いたいけど感じちゃうんだよね。でもそんなあなたがとても愛おしいし大好きだよ、って。
そんな風に言ってあげたいなぁと妄想している鈍くさい、クラスの足を引っ張る、元小学生でした。
以上でした。