西山明宏、高木真也
2015年10月12日08時31分
政府系ファンドの産業革新機構が、シャープの経営再建を支援するために、直接出資する案が浮上している。実現すれば国が事実上救済に乗り出すかたちとなるが、政府内には慎重な意見もある。
シャープは主力の液晶事業が不振で、2016年3月期の純損益が赤字の見通しだ。経営の立て直しには費用がかかるため、資金力のある機構から出資を受けることを検討している。
シャープには液晶関連などで高い技術があり、黒字の事業もある。新たな資金があれば再建は可能だとして、社内や金融機関には出資への期待感がある。
一方で機構が多額の資金を出せば、公的資金による個別企業の救済と批判される恐れがある。機構を所管する経済産業省には「簡単なことではない」との意見が根強い。機構はシャープの経営状況を調べて、出資の是非を見極める方針だ。
シャープは液晶事業を切り離して、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業から資金を出してもらうことも検討している。(西山明宏、高木真也)
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〈産業革新機構〉 国が民間企業26社と2009年に設立した政府系ファンド。出資金の大半は国が出しており、資金量は最大約2兆円ある。半導体大手のルネサスエレクトロニクスや、液晶大手のジャパンディスプレイなど、今年3月末までに計85件、約8千億円を出している。
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