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小麦粉を学んで食べる勉強会に参加してきました。
パン、麺、お好み焼きにタコ焼きなど、ほぼ毎日のように食べている小麦粉だが、我々はあまりにも小麦粉について知らな過ぎじゃなかろうか。
お米なら産地や品種にこだわる人も多いけど、小麦粉となると薄力粉や強力粉というレベルでの使い分けにとどまりがち。それってお米でいえば、うるち米ともち米くらいにざっくりとした分け方だ。 小麦粉を深く知ることで、毎日の食事がもっと楽しくなるのではないだろうか。 小麦粉問屋の小宮商店さんへやってきた餅は餅屋という言葉がある。なら小麦粉のことは小麦粉屋に聞くのが一番だろうということで、相談したのは上板橋にある小麦粉問屋、小宮商店さん。
ここは小売りをしていない業務用専門の問屋さんで、取引先は製麺会社やパン工場、あるいは自家製麺のラーメン屋や町のパン屋さんなのだが、一般消費者向けに『こむぎこ塾』という勉強会や流しそうめん体験などの企画をしているオープンマインドあふれる問屋さんだ。 65年の歴史を誇る小宮商店さん。創業当時の上板橋は小麦粉畑だらけだったそうです。
試食会イベントにお邪魔して、講義のお願いを直談判してみたよ。
ということで講師を引き受けてくれたのは、新潟の中華料理店に生まれて、物心つく前から朝ラーを毎日1.5玉食べて育ったという生粋の小麦粉好きである丸山健太さん。通称『粉の丸ちゃん』。
飲食店で使用する小麦粉の提案や、企業の商品開発サポートなど、粉もの全般のコンサルティングを担当している小麦粉ソムリエであり、趣味はラーメン・ラグビー・ラガービール。日本酒や出汁に関しても深い知識を有している食の専門家である。 小麦粉に対する情熱は油の浮いたラーメンスープよりも熱い丸山さん。
そして私と一緒に小麦粉セミナーを受講するのは、小麦粉に関心のあるラーメン好きと製麺好きの方々。
ラーメン好きの方は初対面だったのだが、ラーメンを美味しく健康的に食べるため、毎日ランニングを欠かさないらしいというストイックさを持つ男らしい。食べるために走る。 「特じゃないナンバーワンってあるんだ!」「1袋(25キロ)単位なら売ってもらえるんですか!」と、小麦粉倉庫で大興奮。
業務用小麦粉袋のデザインは、ジャケ買いしたくなる独特のグラフィック。
今回はちょっと麺寄りのマニアックなメンバーが集まったようだが、一般向けの基礎知識から講義してもらったので安心してください。
焼きそばを自家製麺するようなメンバー揃いですが、あまり気にしないでください。
なぜ小麦を小麦粉にするのか場所を倉庫から会議室に移し、小麦粉に関する基礎知識をお勉強。しっかり学んでからお腹が空いたところで、調理体験および試食会という完璧な流れなのだ。
まずは米は粒のまま食べることが多いのに対して、小麦はほとんどの場合、わざわざ粉にしてから調理するのはなぜでしょうというところから。 なるほど、そういえばそうですね。 丸山さんの服装がさっきと違うのは、なんと2週に渡って講義してもらった話をまとめたからだよ。
人類は約五千年前から石臼で小麦を粉にして食べていたそうだが、その理由は『粉にした方がうまいから』らしい。
米は玄米の外皮を削って白米にして食べることが多いけど、小麦の粒(玄麦)は外皮がとても固い上に溝があって内側までめり込んでいるため、皮が剥がしにくい構造となっている。 そこで小麦は丸ごと砕いて篩(ふるい)にかけて、胚乳部分を小麦粉として食べるという方法が発達したそうだ。 小麦の玄麦。玄米みたいにこのまま炊いても硬くておいしくない。
砕かれた小麦。これをふるうと白い小麦粉が落ちていく。
小麦を小麦粉にする工程は、砕いて篩に掛ける作業を何段階もおこなうのだが、最初に落ちてくるのは胚乳の中心部分で、ここは白くて雑味がなく、タンパク質も上質とされている。一番粉と呼ばれる高級品であり、スイカでいったら中央部の甘いところ、日本酒なら大吟醸だ。
ふるった残り(ふすま)を再度砕いて、また篩にかけて粉を落とすという作業を繰り返すと、だんだん皮に近い部分となり、色が濃くて風味が強い小麦粉となる。砕いたものをそのまま丸ごと使うのが全粒粉。 このような製粉作業によって、同じ小麦から何種類もの微妙に味や成分の違う小麦粉ができるそうだ。 がんばって撮影した小麦。砕いてふるった胚乳が小麦粉、残りの外皮や胚芽がふすま(ブラン)。
小麦の断面。砕いて篩に掛けると、まず胚乳の中心にある白くて柔らかい部分が落ちていく。
餃子だって小麦粉がなかったらできないんだからね!
小麦を学んだあとは、小麦粉について学びます。
みなさんもお楽しみの試食会は最後のページです!
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