日経ビジネス10月5日号では「ヨドバシ アマゾンに勝つ」と題し、家電量販大手のヨドバシカメラが強化するネット通販と、それを迎え撃つアマゾンの動きを詳報した。最短6時間のスピード配送や実店舗と連動した「オムニチャネル」など様々な施策を打つヨドバシは、新たな客層を確実に取り込みつつある。特集の中で実際に約1週間にわたって通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」を利用した主婦の体験から、ユーザー目線でヨドバシのネット通販の実力を探った。
東京都中野区に住む主婦、佐藤美歩さん(31歳)。今回の特集では9月6日から13日までの8日間にわたって佐藤さんにヨドバシカメラの通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」を使い自由に商品を購入してもらい、その使い勝手やサービスの品質について評価してもらった。
夫と4歳になる長男の3人で中野区のマンションに暮らす佐藤さん。ヨドバシのサイトを評価するために気づいたことなどをメモに残してもらったが、真面目な性格なのか、取材班が驚くほど詳細に分析してくれていた。以下、佐藤さんのメモに基づいて購入品やサービスのポイントを紹介していこう。
9月6日(日)
購入品:ミネラル水、SDカード、キッチンペーパー、おもちゃ
ポイント:商品の種類が豊富
ヨドバシが現在ヨドバシ・ドット・コムで扱う商品数は約370万点。アマゾンの1億点にはまだ遠く及ばないが、佐藤さんは「生活に必要なものはほぼそろっており、日常的に使うには十分」と話す。特に、産地にこだわりのある佐藤さんは北海道産のミネラル水が購入できるのが気に入ったという。ヨドバシでネット通販を統括する藤沢和則副社長は、「今後はさらに商品数を拡充する」と強調。生鮮品も含む食品や日用品、スポーツ用品など家電製品以外の商品を増やし、早期に1000万点まで引き上げる方針だ。
9月7日(月)
購入品:化粧品、スポンジ、ミネラル水、スチーム式美顔器
ポイント:メールで出荷状況を知ることができる
ヨドバシが9月から本格的に始めた「エクスプレスメール便」は注文から配達まで最短6時間というスピードが特徴。ただ、消費者にとっては速さに加え、配送の状況がどのようになっているのかを知りたいとの気持ちもある。佐藤さんがこの日商品を注文したのは午前10時半だが、午後2時前には出荷を知らせるメールが登録しているアドレスに送られてきた。商品が到着したのは午後4時半で、その直後に配達完了のメールも受信。佐藤さんは「到着時間が確実に分かし、受け取る準備もしやすい」と話す。
9月8日(火)
購入品:電話機、食器用洗剤、トイレットペーパーなど
ポイント:梱包は非常に丁寧
佐藤さんがこの日購入したのは日用品を中心に13品目。洗剤やごみ袋など細々したものが多く、ネット通販の事業者としては商品をどのように梱包するか頭を悩ませるところだ。今でこそトラブルの数も減ったが、かつては梱包がいい加減だったために商品が破損し、業者と購入者の間でトラブルになるケースも多かったと聞く。
ヨドバシの場合は基本的に商品を「www.yodobashi.com」のロゴが入った白地の段ボールに梱包して配送する。佐藤さんが箱を開いてみると中にはビニール製の梱包材が詰められ、商品がバラバラにならないように工夫されていたという。「開けた時にとてもきれいに整理されていて、印象的だった」と佐藤さん。配送のスピードだけでなく、消費者目線での細かい気遣いも高評価のポイントとなった。