ワールドカップ(W杯)で勝つためにはリスクを冒さなければならないと、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチはずっと言ってきた。
そのチームの覚悟は、W杯史上最大の番狂わせとなった南アフリカ戦終盤で示された。
32-29とリードを許してはいたが、残り90秒でコーニー・ウェストハイゼンが一時退場になったことで1人多い状況だったブレイブブロッサムズ。相手のスプリングボクスが自陣数メートルのところで反則を犯し、PGを決めれば引き分けに持ち込める状況。しかし、リーチ主将は一世一代の賭けに出た。そしてその賭けは大きな吉と出た。交代で入ったカーンがロスタイムでトライを決め、W杯で24年間ぶりの勝利を手中に収めると、ブライトン・コミュニティースタジアムは大歓声で揺らいだ。
「相手がパニックになっていることは分かった」と振り返るリーチ。「相手が1人少なかったので、キックよりもスクラムを選びたかった。個人的にも引き分けより勝ちを狙いたかった。チームメートをがっかりさせたくなかった」
3度目のW杯で初めて勝利を手にしたベテランのロック、トンプソン・ルークは、日本選手15人全員が主将の判断を支持したと話す。
「ラグビーの試合に勝つために来た。相手のスクラムにプレッシャーを掛けられていると思った。相手はプロップを2人とも替えたし、勝ちに行くという決断は素晴らしかった」
「トレーナーが来て“3”と言ってるのは耳に入っていたが、心の底ではみんな勝ちに行きたかった。引き分けは前にもあったから」
ヘスケスも言う。「観客全員が日本の味方だった。南アフリカがペナルティーをし、日本がキックではなくトライを奪いにいったあの瞬間、やっとリスペクトを受けることができた。想像もできないような特別なこと。素晴らしかったよ」
ジョーンズHCは歴史的な勝利を手にして「今日の選手たちは勇敢なんてもんじゃない。最後まで相手に向かって行った。引き分けを選ばずに最後のPGで蹴らないことを選択したリーチの勇気をたたえたい」と選手たち、そして特にリーチを賞賛した。しかし、「まだまだここで終わりではない」とジョーンズ。わずか中3日という過酷スケジュールでスコットランド戦が控えているが、8強入りが現実的となったいま、ここで負けることはできない」。「目標はあくまでも準々決勝へ進むこと。もし、進めたら、監督業から引退するよ。20年間コーチをやってきたが、これほど働いたことはない。もう55歳だし、本当ならバルバドスあたりでクリケットでも見ながら優雅に暮らしていてもいい年齢だ」と笑い飛ばし、「本当に素晴らしいエンディングだった。最後はスプリングボクスのファンも日本を応援していたんじゃないかな。ワールドカップ史上最高のゲームの一つに間違いない」と話した。
RNS sk/pg/sw/yk/mn/kf