ロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)会長=日本名・重光昭夫=は17日、国会で行われた公正取引委員会に対する国政監査に出席し、韓国での持ち株会社格であるホテルロッテの上場方針について、父親の辛格浩(シン・ギョクホ)総括会長=同・重光武雄=による承認を受けたことを明らかにした。辛東彬会長は「2-3週間前に(ホテルロッテを)なぜ上場させなければならないかについて、(辛格浩総括会長に)報告を行い、100%の承認を受けた」と述べた。
辛東彬会長は「王子の乱(兄弟間での一連の経営権争い)は終わったのか」との国会議員の質問に対し、「終わった。紛争が再発する可能性はない」と断言した。その上で、「来年上半期までにホテルロッテを上場させ、長期的には日本のロッテによるホテルロッテに対する持ち株比率を現在の99%から50%以下に引き下げる」と説明した。日本側の出資比率を引き下げることで、ロッテグループが韓国企業であることを明確にする狙いがある。
公取委に対する国政監査はさながら「辛東彬聴聞会」の様相を呈した。政務委員会所属の国会義委員の大半が質問時間を全て辛東彬会長への質問に充てた。辛東彬会長は韓国の10大企業グループで初めて国会での国政監査に出席した。辛東彬会長を一歩y的に批判する議員は見られなかった。
アタッシェケースを持ち緊張した面持ちで国政監査に臨んだ辛東彬会長は、気軽な質問には笑顔で答える余裕も見せた。ロッテ免税店の市場独占については、「ロッテ免税店は現在世界3位だが、1位になることも可能だ。『サービス業のサムスン電子』になる可能性もあるので支援をお願いしたい」と述べる場面も。また、議員らの質問には「はい、その通りです」「深く反省しています」「ご指摘の点を改善します」などと謙虚に答えた。
座ったままで答えていた辛東彬会長は「国会で公式に謝罪するつもりはあるか」との質問で起立し、「家族間のことで本当に恥ずかしく思い申し訳ない」と述べた後で一礼した。
辛東彬会長は「ロッテグループは韓国企業か」との問いに対し、「明らかに韓国企業だ」と強調した。その上で、グループの循環出資の80%を10月末までに解消し、ホテルロッテの上場に際し、新株の発行規模を増資後の発行済み株式全体の30-40%とする意向を表明するなど、具体的な支配構造改善策も示した。このほか、ホテルロッテの上場による株式譲渡益に日本側が課税を行うのではないかとの疑念について、辛東彬会長は「韓日租税条約によれば、ホテルロッテ上場による課税分は韓国政府に帰属する」と述べた。
国政監査で鄭在燦(チョン・ジェチャン)公正取引委員長は「ロッテグループを実質的に支配しているのは誰か」との質問に対し、「辛格浩総括会長ではなく、辛東彬会長だと判断している」と答えた。その上で、来年4月に公正取引法上、ロッテグループの総帥を辛東彬会長に変更する意向があるとした。