一部港の出荷が遅れる可能性も、チリ地震-日本の銅原料の半分依存
2015/09/18 15:44 JST
(ブルームバーグ):チリで16日に発生したマグニチュード8.3の地震の影響で、同国の銅鉱山などに出資する日本企業は現地での情報収集を進めている。チリは自動車や半導体部品、電線など幅広い分野で使用される銅の原料の最大輸入先。日本企業が出資する鉱山の操業に影響は出ていないもようだが、一部港での津波による浸水被害が出ており、出荷に遅れが出る可能性もある。
JX日鉱日石金属と三井金属の合弁会社で国内銅製錬最大手のパンパシフィック・カッパー(PPC)と三井物産が出資するカセロネス銅鉱山。鉱山設備への被害はなく操業への影響はないというが、同鉱山からの銅精鉱は震源地に近い同国中部のコキンボ港から日本向けに出荷されている。
現地の港湾当局によると同港には地震により4.6メートルの津波が襲った。PPCの広報担当者が匿名で明らかにしたところによると同港への立ち入りは当局によって禁止されており、積み出しへの影響が確認できていない状態。カセロネス銅鉱山は日本企業が100%出資する日の丸銅鉱山で、9月中のフル操業への到達を計画している。
チリは世界最大の銅生産国。財務省貿易統計によると昨年の銅原料輸入の約半分をチリ産が占めた。経済産業省によると同国で日本企業が投資している鉱山プロジェクトは約15ある。同省では現地で事業を展開する日本企業から被害等の聞き取り調査を進めている。
同省鉱物資源課の萩原崇弘課長は、地震による津波の影響でチリの一部積み出し港での銅精鉱の出荷が遅れる可能性はあると見ていると指摘。ただ、影響を受けていない港もあり代替港による出荷が可能であることに加え、国内の銅製錬メーカー各社は約1カ月-1カ月半程度の原料在庫を抱えていることなどから「影響は軽微であると考えている」と述べた。
住友金属鉱山の広報担当の景川美姫氏によると、同社や住友商事が出資するシエラゴルダ鉱山、カンデラリア鉱山、オホスデルサラド鉱山でも操業や積み荷に影響は出ていないという。英アントファガスタと合弁でチリ北部のエスペランサ鉱山に出資する丸紅の広報担当者も、同鉱山や銅精鉱を積み出すアントファガスタ港に被害は出ていないと話した。
ロンドン金属取引所(LME)での銅相場は17日に1トン当たり5440ドルと、8週間ぶりの高値を付けた。18日の相場は午後2時33分現在、同5360ドルと反落している。
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更新日時: 2015/09/18 15:44 JST