戦闘機パイロットの安全確保のため1324億ウォン(約136億円)を投じて導入した空軍の電子戦訓練装備(EWTS)が、使用から3年で329回にわたり故障していたことが分かった。EWTSは画面上で主に敵の対空ミサイルから逃れる訓練を行うものだが、韓国軍関係者は「実際はテレビゲーム以下のものだ」と指摘している。
防衛事業庁と空軍が16日に与党セヌリ党の宋泳勤(ソン・ヨングン)議員に提出した資料によると、EWTSは2012年7月に導入された直後から、アンテナ制御装置や信号伝送装置といった主要部に加え、ソフトウエアなどでも329件の欠陥が発見されたという。一例を挙げればミサイル発射のデモンストレーションを行う部分で185回、訓練結果を分析する信号分析装置で109回などだ。また13年12月には一部機能が完全にストップし、今も復旧していないという。敵のミサイル攻撃に対する防御行動の細かい分析や、これに伴う新たな戦術の開発がEWTS導入の主な目的だったが、これらは今も全く達成できていない。韓国軍関係者は「当初から空軍が意図していたレベルの高い訓練は全くできない状況だ」と指摘している。
これら一連の問題は防衛事業の不正とも関係があるようだ。EWTS導入に関与した日光工営のイ・ギュテ会長とSK C&Cは、EWTSを制御するソフトウエアを開発し、これを国産化したなどと虚偽の説明を行ったとして、政府合同捜査チームが捜査を行っている。またこの問題とは別に、フランス企業から導入したシステムと韓国の下請け会社が開発したソフトが対応しないケースもあったという。検察はイ・ギュテ会長とSK C&Cが不当な利益を手にする過程でこれらの問題が発生したとにらんで捜査を進めている。