有力格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が韓国のソブリン格付けを「ダブルA」に引き上げたことをめぐり、「経済が低迷しているのになぜ引き上げたのか」と疑問視する声が聞かれる。結論から言えば、格付け会社が国家経済を評価する基準は銀行が個人の信用能力を評価する際の基準とは異なる。「現在カネを稼いでいるか」「借金はどれだけあるか」「今後経済力を維持できるか」が最も重視される。その基準でいけば、韓国経済は健全な方だ。
第一に韓国経済は依然収入を上げており、ドル資金が潤沢で、債務償還能力も確かだ。S&Pは「韓国は対外流動性資産が増え続け、対外債務との差がさらに広がると予想される」と評した。貿易黒字が続き、外貨準備高が増え、国家全体で債権規模が増え、支払い能力に何ら問題がないという意味だ。格付け各社は韓国の外貨準備高が3600億ドルを超える潤沢な状態にあり、危機に際し韓国から引き揚げられるドル建て短期債務資金の割合は非常に少ないとみている。
第二に韓国の財政状態が良好な点だ。韓国国内では政府債務の割合がGDPの40%を超えたことを懸念する声もあるが、S&Pなど格付け各社は「韓国の財政は先進国の中でも良好な方だ」とみている。経済協力開発機構(OECD)加盟国の政府債務の対GDP比は平均114%で、韓国は40.1%(来年時点)だ。S&Pは韓国よりもはるかに先進国である日本の格付けを韓国より1段階低い「シングルAプラス」としたが、これは日本の政府債務の対GDP比が200%を超え、国の借金が政府財政に深刻な制約を加えているからだ。
第三に経済成長率は低いが、成長基調は強固である点だ。5年連続で2-3%の低成長にとどまっていることが国内的には問題視されているが、先進国に比べれば堅調な数字だ。米国を除く主要国がマイナス成長やゼロ成長を記録する中、先進経済圏で3%前後の成長を維持しているのは、最近景気が回復局面にある米国を除けば韓国が唯一と言える。
現代経済研究院マクロ動向室のイ・ジュンヒョプ室長は「経済をあまりに悲観視せず、自信感を持ってもよいという外部からのメッセージだ。だからといって安心できる状況ではなく、構造改革は継続的に進めるべきだ」と述べた。