賃貸借契約書とは、不動産賃貸には欠かせない契約書のこと。
難しいことばかり書かれていて、読むのが面倒だから適当にサインしちゃおうなんて日には、その後様々なトラブルを生む要因になってしまします。
そこで今回は、賃貸借契約書をよく読まなかったことで実際に起きたトラブルを5つ提示しながら、賃貸借契約書で絶対に確認するポイントをご紹介していきます。
1. 契約期間と更新について
物件によって契約期間や更新のタイミングは様々です。
まずは普通借家契約なのか、定期借家契約なのか確認する必要があります。
それによって、契約期間が満了した際、更新できる場合と出来ない場合があったり、建物賃借料の増減が請求できる場合、できない場合があったりするので、自分がどのような形態で契約を使用としているのか把握しましょう。
契約期間内の中途退去に関するトラブル
契約期間と更新でトラブルになりやすいのが、契約期間内の中途解約です。
実際に、2年間の賃貸契約を交わしていた方の転勤が決まり、その地点で契約期間は8か月間残っていました。
突然引っ越さなければならなくなった状況でも、「退去の○ヶ月前までに連絡」などと記載されていない限りは契約期間内、つまり残り8か月分の家賃を支払わなければなりません。
一般的に不動産業界の慣習として、それでは可哀そうだということで連絡を受けてから2~3か月分の賃料だけを請求することも多いので、一概には言えまん。
しかし、特に突然の転勤や引っ越しが予測される方は、退去や契約期間に関することは、契約を結ぶ前にしっかり契約書を読み、質問するなどして退去する際にトラブルを回避する必要があります。
2. 敷金
引っ越しをする際の敷金・礼金ってかなりかさみますよね。
敷金は、もちろん部屋を借りる際の「補償金」なわけですが、家賃滞納をせず部屋をきれいに使っていれば必ず全額返ってくるものだと思っていませんか?
敷金に関する認識の違いによるトラブル
実は、契約の中には「敷金は○ヵ月分償却」など記載されている場合もあります。
その情報を見落としたばかりに、返金されると思っていた敷金の2か月分が戻らなかったという事例も少なくないのです。
「敷金は返ってくるもの」というような固定概念で物事を判断するのではなく、自分がどれだけの金額を支出するのか把握するためにも、契約書のチェックが必要です。
3. 禁止事項
物件によって決められた禁止されていることの記載があります。ペット、楽器演奏、石油ストーブなど…物件によって多種多様です。
契約後に気付く契約書の重要性
これまでの事例として、石油ストーブ禁止だということに契約後に気づき交渉の末、利用許可を取得。
しかしその後、再度石油ストーブの使用を禁止されるという事例がありました。
この場合、契約前にしっかり話し合い契約書の文面を変更してもらっていれば使用許可の権利を主張できたものの、一度は契約書にサインをして承諾した内容を覆すということはなかなか難しいようです。
自分がその部屋に住むことをしっかりイメージして、禁止事項に引っかかることが無いか確認しておくことが大切です。
4. 原状回復の範囲と内容
賃貸借の契約でも特にトラブルが起こりやすいのが、原状回復に関するものです。
2005年から2010年の5年間で、8万件を超える相談件数が寄せられています。この数字を知ると、契約前にいかに契約内容を明確にし、把握することが必要なのか痛感できますね。
トラブルになりやすい要因としては、部屋の汚れや劣化が経年劣化によるものなのか、賃借人の故意、過失によるものか判断しにくいことが挙げられます。
契約前に不明点を明確にしなかったために起こったトラブル
これまでにも家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡が残っているため、修理代を請求されたという事例がありましたが、これは経年劣化によるものなので賃借人の義務ということになります。
原状回復については、賃貸借契約書の他にも国土交通省が発行した、『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』のように取り決められたものもあるので、参考にすることをお勧めします。
5. 特約事項
よくよく見てみると、とんでもないことが書いてあるかもしれません…。
知らずのうちに費用負担を承認してしまうトラブル
「原状回復にかかわるすべての費用は借り主負担とする」や、「室内のリフォーム、修繕の費用は全部借り主が負担する」というように、理不尽なことを載せてあったのに気付かずに、サインをしてしまったという人もいます。
一般的にみても明らかに賃貸主が負担すべき案件であっても、知らずのうちに了承してしまうということも起きてしまいます。
【終わりに】
契約書ってなんだか堅苦しいし、面倒だし…。という気持ちは誰もが感じるものだと思います。
しかし、契約を交わす前に把握しておかなければいけないことって意外とあるんです。
今回挙げたようなトラブルに巻き込まれないためにも、契約書にサインする前に不安や疑問点はすべて明確にし、安心して引っ越しができたらいいですね。