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エンジニア不足はいつまで続くのか(メモ)

吉田真吾@yoshidashingo)です。フリーランスでたくましくやってます。

本日は後ほどこちらにエンジニア代表として参加予定です。

ll.jus.or.jp

そこでこんなお題をいただいてます。

  • Web業界に特有の人材不足の原因とは
  • 人材不足はいつまで続くのか
  • どうすれば解決するのか、あるいは取り組んでること

頭の整理も兼ねて一通り自分の考えを記載しておきたいかなと思います。トピックを書きなぐる形で整理されてない点はすいません。また、統計などとの突き合わせはできてませんので、なにぶん経験則に基づく仮説のような論調になる点もご了承ください。

Web業界に特有の人材不足の原因とは

1. Webに対するニーズに人材供給が追いついてないのでは説

お題がWeb業界にフォーカスされてますが、前提としてITのニーズにおけるWeb業界のニーズというのはここ15年〜20年くらいで爆発的に伸びた業界です。その前にはそもそもWebはなかったし、Yahoo!BBiPhoneの登場などで爆発的に消費者ニーズが増えた分野です。

yoppymodel.hatenablog.com

それに対して一般的に携わる人数が間に合ってないというのは言えるかもしれません。

2. Webシステムを供給するビジネススケールが間に合ってないんじゃないか説

日本で2〜3年で0からユニコーン(1B)企業になったなんてのもまだ聞いたことがないですし、有名なエンジニアは多い割にビジネスでも金銭的な大成功をしてるロックスター(ビジネス的に当たってシャンパンタワー立てるエンジニア)というのもあまり聞かないですね。

いないことはないのかもしれないけど、エンジニアに関しては清貧なほうがウケるという雰囲気もあってあまり目立たないのかな。

なににせよ、投資を突っ込んで一年で何十倍にもスケールさせるっていうノリに対する憧れをあまり持たれないのかなとか。

3. 一部のゲーム屋さんが抱えちゃってる説

2011年頃によく聞かれた「入社支度金」。こういったものが用意できる会社さんに人材が偏ってる説。ただし私としては市場原理が適切に働いてこれはよいことではないかなと思います。札束でほっぺた叩くの万歳じゃないですか、あくまで仕事ですからね。

4. Web業界の稼ぎ方が偏ってる説

最近あった話ですが、とあるエンタープライズな会社のシステム刷新の関連で基幹系、情報系システムのデザインをレビューしてみましたが、まるでワークステーションの画面のようで、配色もびっくりするくらいの「Web 1.0」。そしてどこをどう押したらどう動くのか全く想像のつかない画面でこれはいかんと。僕たちのチームのUI/UX担当がガラッと変えたプロタイプを見せたらお客さん先でスタンディングオベーションが起きたということがありました。

基幹系、情報系システムなどにおいてもWebがこれだけ一般的に使われているのに、最も得意とする人や会社がそれを担当してないということはないでしょうか。よくあるスーツ対ギークみたいのはそろそろ卒業して、エンタープライズ業界とWeb業界が手と手を携えて「餅は餅屋」を実践してITのモダン化に向かうという姿勢が大事だと思います。そうすればエンジニアの単価も高く設定しやすくなるでしょう。たとえば100万/MMもらえばエンジニアに50万くらいは払えますよね。

speakerdeck.com

また、内製化の文脈でちょっと話をすると、僕はすべてを内製化できるとは思わないんですね。工数が大きくかかる大きめのプロジェクトでシステムをゼロから作ったり基盤刷新がする場合もあるので。重要なのはそこから内製化への巻き取り方だと思うんです。現在相談いただいてるとある会社さんは、一度アウトソースで作ったものを巻き取れずにいてビジネス側が求めるスピードにまで上がらないというジレンマを抱えていると聞いてます。

日経さんのAWS移行をやったときは、彼らの巻き取り方が非常に上手くて後半ほとんど手離れできたという成功パターンもあるので、巻き取り方はとても大事です。

5. そもそも大きなエンジニアのパイをSIerが抱えちゃってる説

某20万人月と言われるプロジェクトがありますが、こういうものに人が取られてないですかね?しかもそういった案件だとエンジニアの主体性とか全部殺されてしまう傾向があるでしょうから、見積もり以上に人を突っ込む必要がでてきて(生産性が低い傾向になるので)技術者不足に拍車をかけてるんじゃないでしょうか。調査結果からも、人を出してる中小下請けのほうが技術者不足と感じる傾向が強いようですし。

itpro.nikkeibp.co.jp

あと、最近だとオフショアの中心が中国からベトナムに移行してますよね。中国のちゃんとした会社はもうかなり高くなりましたから。

人材不足はいつまで続くのか

上記のような状況なので、マクロ視点では恒常的に人材不足ではあるのではないかと思います。ただ、フリーランスや副業をしたいというエンジニアはまだまだいると思いますよ。というかそれが私が取り組んでる部分なのですが。

どうすれば解決するのか、あるいは取り組んでること

最近のお仕事

  • クラウドインフラ設計・構築・PoC、DevOpsツール導入・定着化、UI/UX設計、アプリケーションフレームワークのモダン化など
  • 内製化や採用の相談
    • ユーザーが主体的に開発・運用ワークフローを整備する(成果物の納品を目指せばよい会社がCI環境を整備するインセンティブはないんで)
    • Webで会社名調べてコーポレートサイトしか出てこない会社にエンジニアがくるわけないのでちゃんと発信するところからやる

最近取り組んでること

  • フリーランス、副業OKなエンジニアによる技術支援チーム作り
    • 完全なT&Mで合理的に使う。都度軽く見積もりはするが、最終的な工数の使用責任はお客様という形。
    • 副業OKな、できるエンジニアにも声をかけてもらい、仕事の交通整理をしたうえでお願いしている。
      • 発生する課題としては、やはり本業にオーバーコミット気味な時期は交通整理自体がしにくいという点。
  • 世界中のギルドとのコラボレーション ※これから本格化
    • ちょっとドバイあたり行ってくる

提言的なこと

自社でWebのサービスをやってるとこ向け

  • サービスをSaaS化しよう
    • 個別カスタマイズなどをすることでスケールしないビジネスになってしまう。少ない人数で大きなチャリンチャリンビジネスにする。
  • SaaS、PaaSを活用しよう

制作会社向け

  • デザインファーム化しよう
    • Webの実装の下請けという分野だけではなく、Webの手段を使ってどういう価値を提供するのか、コンサルテーションやワークスタイルのリデザインをして、当て込むツールを選定して、プロトタイピングして、など。
    • そしてSIerを駆逐しよう

Web化したりWebシステムの刷新を検討してるユーザー企業

  • デザインファームを使おう。そして出来る限り学んで上手に巻き取ろう。

その先

IT業界を「憧れられる職業」にする

  • まだ内緒