脳卒中:長時間労働の人ほど高い発症リスク 英で発表

毎日新聞 2015年09月04日 10時53分(最終更新 09月04日 13時40分)

 長時間労働の人ほど、脳卒中などの発症リスクが高くなるとの研究結果を、英国などの研究チームが医学誌ランセットに発表した。生活習慣だけでなく職場環境も、脳卒中を引き起こす要因となっている可能性を示している。

 研究チームは、働く時間と、脳卒中や冠動脈疾患との関係を調べ、昨年8月までに発表された欧米やオーストラリアの研究を統合して解析した。その結果、17の研究、52万8908人分のデータから、働く時間が長い人ほど、脳卒中の危険性が高いことが分かった。

 特に、標準的な労働時間(週35〜40時間)の人と比較すると、週49〜54時間の人は1.27倍、週55時間以上は1.33倍に増えた。日本の労働基準法では、原則週40時間を超えて労働させてはならないと定めている。

 また、25の研究、60万3838人分のデータから、心臓の冠動脈疾患になる危険性も、週49〜54時間の人は標準の1.07倍、週55時間以上の人は1.08倍に増加。働く時間が長い人ほどリスクが高まる傾向が表れた。長時間労働に伴う睡眠不足やストレスの影響がうかがえる。

 循環器内科が専門の仙台厚生病院の宮坂政紀医師は「高血圧や糖尿病などに加え、長時間労働も脳や心臓の血管に関係した病気の危険因子として注目されるきっかけになる」と指摘する。【河内敏康】

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