中国の習近平国家主席は3日、抗日戦争勝利70周年記念の軍事パレードで「中国軍の兵力30万人を削減する」と宣言した。現在230万人いる中国軍を200万人に減らす、ということだ。
習首席は3日、北京の天安門の望楼に上って記念の演説を行い「中国軍は、祖国の安全保障の職務を履行すると同時に、世界平和を守護する使命を帯びている」という趣旨の発言を行った。また習主席は「中華民族は平和を愛する民族。永遠に覇権を追求せず、拡張を企てず、中国が経験した戦争の悲劇をほかの民族に強要しない」と語った。これは、「中国崛起(くっき)」(中国の台頭)を懸念する西側や周辺諸国を安心させるための発言と解されている。
さらに習主席は3日、繰り返し「平和」に言及した。第2次大戦で死傷した1億人のうち3500万人は中国人だと語り、現在も戦争という「ダモクレスの剣」が人類の頭上にぶらさがっている、と演説した。ダモクレスの剣とは、1本の糸でつり下げられた剣のことで、転じて「身に迫る危機」を意味する。
しかし、軍事パレードは史上最大の規模で行われた。中国は「空母キラー」と呼ばれる弾道ミサイル「東風(DF)21D」や戦略核ミサイル、艦載機「殲(J)15」などを思う存分誇示した。公開された兵器の84%は新兵器。軍事パレードに全世界30カ国の指導者を呼び、中国の「大国崛起」を公認させようとした格好だ。「30万削減」発言は、中国が軍事的に台頭しても平和を重視していることから、米国・日本などが心配することはない、という意味になる。西側がけん制しても「中国の道」を歩んでいく、という意味も込められている。特に、習主席は「世界平和」と「新型国際関係」を強調した。中国国防省は「習主席の削減計画発表は、世界平和と軍縮のため責任ある態度を示すもの」と主張した。これは、中国が米国のように軍縮など世界の安全保障問題までも主導し、名実共に主要2カ国(G2)の役割を果たす、という意味だと解されている。
3日、習主席は天安門の上で右の拳を握り締めて突き上げ「正義は必ず勝利する。平和は必ず勝利する。人民は必ず勝利する」と叫んだ。天安門の下で軍事パレートを待っていた中国軍1万2000人と中国の市民およそ1万9000人は、一斉に歓声を上げた。