ウォール街の格言に「市場は、最大限の参加者が、最も困る方向へ動く習性がある」というのがあります。

先週の世界の株式市場は、まさにそれでした。

ギリシャ問題が解決したので、ウォール街の「一軍」はマーサズ・ヴ二ヤード辺りへ脱出し、トレーディングルームの留守をまもるのは、リーマンショック後に投資銀行に就職したような、まだ一度もベア・マーケットを経験したことのない若手が多かったです。

大体、この時期は、相場を動かす材料に乏しく、トレーディングルームのアシスタントの女の子たちは、こっそり「ヴォーグ」のセプテンバー・イシューをめくっていたりするものです。言わばアメリカのオフィスの、夏の風物詩です。

僕のアシスタントだったクリスティーンも、塹壕のようにうず高く積み上げられたモニターの向こうに隠れるようにして、セプテンバー・イシューを熱心に読んでいたことが懐かしく思い出されます。

僕:「どう、カワイイ洋服、ある?」
クリスティーン:「え? 何の話?」
僕:「隠したってダメだよ。3分毎に違う香水の匂いがこちらにも漂ってくるからwww」


ファッション雑誌の袋とじになっている香水の広告頁を開けると、香水のサンプルの匂いを嗅ぐことが出来るのです。

先週の週初のウォール街の話題といえば、CNBCのケリー・エヴァンスが「Elle」のセプテンバー・イシューに掲載されたという事でした。



そのくらい手持ち無沙汰だったところへ、いきなり中国のニュースが襲ったわけです。

閑散とした、けだるい夏に突然、想定外の出来事が起きた例としては、1998年のロシアのルーブル危機が思い出されます。あの時はLTCMが破綻し、ニューヨーク連銀は急遽、投資銀行に呼びかけて、スクラムを組むと同時に、緊急緩和しました。

今回は、あの時とは状況は異なりますが、9月の利上げの可能性はゼロになったと考えて、ほぼ間違いありません。

市場参加者のセンチメントが、極端な悲観に振れているので、今週は週初にギャップ・ダウンでオープンした後、寄り引け同時足を至現する……というような展開で、目先のボトムを付ける公算が高いです。

でも僕ならそこで慌ててフルポジションを建てるような素人クサい相場の張り方はしません。なぜならレーバーデイ(9月7日)明けにボスがマーサズ・ヴィ二ヤードから帰ってきたら「やっぱり世界は、変わったんだよ」と新しい現状認識を示し、世界全体の経済成長がガクンと減速した事実を踏まえた上で、守りのスタンスを打ち出すに決まっているからです。するとそこからまた相場は迷走するでしょう。

まあそのへんの話は別のところ(=ダイヤモンド・ザイ・オンライン「世界投資へのパスポート」)で書くので、月曜日にUPされる記事を参照してください。

まとめると:

1)今週、米国市場はボトムをつける
2)そこで慌てて取りに行っても、今回は値幅は取れない
3)10月半ばまではグズグズした相場が続く


ということです。

銘柄ですか?

目先は、ゴールドコープ(ティッカーシンボル:GG)。これ以外、あまり良いアイデアが浮かびません。

PS:相場にも四季があります。ウォール街だって、それが人間の営みである以上、暦(こよみ)に基づいて動くのです。ウォール街の四季ごとの風物詩を知りたければ、僕が昔書いた、このKindle本を読んでみて下さい。