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 軍事独裁体制下にあるタイの民主化を占う新憲法の最終案が22日、採決のために国家改革評議会(NRC)に提出された。非常時に政府と議会を超越した権限を持つ機関を新設するなど、民主主義の原則と相いれない内容になっている。

 議論を呼んでいるのは、憲法発効後5年間の経過措置として軍司令官や警察庁長官、首相、両院議長らでつくる「改革と和解のための国家戦略委員会」(23人)に与えられる権限だ。

 最終案は、政府には対応できない国家の独立や王制を脅かす危機が生じた場合、同委員会が事態正常化のために行政府、立法府を超えて命令や措置をとることができるとしている。

 これは、選挙で選ばれた議会と政権の権限の停止を意味することから、専門家や政党関係者は「合法的にクーデターができる機関」だと批判。これに対し、憲法起草委員会は「政治混乱や暴力を、憲法を破棄せずに収拾するための条項だ」と説明している。

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