ウェリントン=郷富佐子
2015年8月22日23時50分
大詰めを迎えている環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、ニュージーランド(NZ)が攻勢に出ている。7月末の閣僚会合では、日本などに乳製品の輸入拡大を要求。強硬姿勢の背景には、この数カ月で急変した世界の乳製品市場に国内の酪農家が悲鳴を上げていることがある。
■乳価が2年で半額以下に 酪農家は悲鳴
NZの酪農界に8月上旬、衝撃的な知らせが走った。国内生乳シェアが9割近い乳業大手フォンテラが、来年度の生産者乳価格の見通しを「乳固形分1キロ当たり3・85NZドル(約316円)」と発表。史上最高を記録した2014年度の8・4NZドル(約690円)からわずか2年で半額以下への急落に、国内の酪農家たちは頭を抱える。
「下落のうわさは7月からあった。せめて4月にわかっていたら対処できたが、どうしようもない」
首都ウェリントンから約160キロ北のキウイティア地区の広大な農地で、乳牛約550頭を飼うアンドリュー・ホガードさん(40)は暗い表情で話した。8月は出産ラッシュで50頭近く生まれた日もあったが、「コストカットのために頭数を減らして乗り切るしかない」。子牛を肉牛用に回すなどして、520頭前後まで減らす予定だという。
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朝日新聞国際報道部
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