映像が視覚に訴えてくるパワーというのはものすごいものがあり、何のストーリーもないただの風景を見ても思わず涙がほろりとこぼれることがあります。感情をグラグラと揺さぶるほど印象的な映画トップ10が公開されていて、作品を見たことがない人でも感動すること間違いなしの内容になっています。

Top 10 Most Beautiful Movies of All Time - YouTube

第10位は2002年公開のロシア映画「エルミタージュ幻想」。



エルミタージュ幻想は、世界遺産に登録されているエルミタージュ美術館で撮影された映画で、美しい名画や彫像が登場します。



エルミタージュ幻想のすさまじいところは、90分間ワンカットで撮影されたところ。要するに、編集なしで90分間撮影しっぱなしということです。



ロシアの名匠であるアレクサンドル・ソクーロフ監督が描いたのは、ふとしたことから美術館に迷い込んだ男が過去と現代を時間旅行することになるというストーリー。



家具や装飾、食器など細部に至るデザインはすさまじいものがあり、見事トップ10に入りました。



第9位は1979年公開の「マンハッタン



マンハッタンはモノクロ映画でありつつも、カラーでは再現できない美しさがあります。



1970年代のニューヨークの街角。CineFixによると、マンハッタンの映像がカラーにも負けないくらい美しいのは、ニューヨークを流れる「時間」を映像に落とし込んだからとのこと。



鉄骨がむきだしの巨大な橋を見つめる男女の後ろ姿を写したシーンは、まるで写真のようです。



情熱的なシーンはモノクロの光と影が絶妙な雰囲気を作り上げています。



第8位もモノクロ映画で「市民ケーン」。



24歳だったオーソン・ウェルズ監督のデビュー作品で、今なお語り継がれる名作の1つです。強い光量の照明を利用することで実現できたパン・フォーカスという撮影手法により、画面全てに焦点を合わせて緊張感を作り出しているとのこと。



デビュー作品とは思えないほど完成度が高かった本作ですが、当時新人だったウェルズ監督はさまざまな映画を見まくって、映画撮影に関する技術を勉強したそうです。



大きな垂れ幕にググッと寄って……



徐々にカメラを下に下ろしていきます。観客は次に何が写るか分からないから、ゾクゾクっとした感覚に陥るそうです。



第7位はスタンリー・キューブリック監督のSF映画「2001年宇宙の旅」。



難解なストーリーが魅力の2001年宇宙の旅ですが、本作以降のSF映画に影響を与えたと言っても過言ではないSFX技術も大きな魅力です。



見ている側の度肝を抜いた10分間にもおよぶスター・ゲイトのシーンを覚えている人は多そう。



ルネッサンス芸術のようなデザインの空間や……



近代的なデザインのディスカバリー号の船内。



また、中央が消失点の遠近法を多用したことでも知られています。





第6位は1970年公開の「暗殺の森」。



第二次世界大戦前夜のイタリアとフランスが舞台の映画で、光と影が織りなす映像美は見ているだけでも心が洗われる気分になります。



階段を上るワンシーン。絶妙な照明の使い方が観客の興味を引きつけます。



窓から差し込む光に照らされるシーン。



文字がズラーッと並んだ壁からのワンショット。美しい構図や心を揺さぶるようなカメラワークは、映像の美しさを一段階上のレベルに上げています。



第5位は2006年公開の「落下の王国」。



映画「ザ・セル」で脚光を浴びたターセム・シン監督の2作目となった本作は、日本人デザイナーの石岡瑛子が衣装デザインを担当し、第38回カンヌ国際映画祭で芸術貢献賞を受賞しました。



現実と空想という2つの世界を舞台に話が進むのですが、圧巻は空想世界の映像美です。



東洋的な雰囲気と極彩色あふれる衣装はミスマッチを超越した領域。



幾何学模様の階段が立ち並ぶ風景は圧巻。



シン監督の頭の中の世界がそのまま映像化されたような世界観に心が揺さぶられること間違いなしです。



第4位は2004年公開の香港・中国合作映画「HERO」。



黄色や……



赤。



青といった色が画面を埋め尽くすばかりに表現された映像は見入ってしまうほどの美しさ。



黄色い落ち葉が舞うシーンで赤い衣装を着た2人が戦うシーンは特に印象的です。



白い衣装が周囲と同化しているような錯覚に陥るワンシーン。



第3位は1962年公開の映画「アラビアのロレンス



アラビアのロレンスはオスマン帝国からのアラブ独立闘争を描いた歴史映画で、砂漠の美しい風景が心に刺さる作品。



広大過ぎる砂漠。



広い砂漠をラクダが闊歩する姿。劇場のスクリーンでみると吸い込まれそうな感覚に陥りそうです。



地平線の彼方のしんきろうが段々と黒い人影になるシーンは名場面の1つ。



第2位はテレンス・マリック監督による2011年の映画「ツリー・オブ・ライフ」です。



マリック監督は光にすさまじいこだわりがあり、屋内・屋外の全てのシーンを自然光のみで撮影しています。



少し暗くて質感あふれる映像は照明を使わないことで可能になりました。



ステンドグラスに差し込む光。



子どもが走り回る影のシーン。



日常的なシーンが続くと思いきや……



突如大自然の風景や宇宙のシュールレアリスムっぽい映像が挿入されます。



映像美が印象的な映画トップ10の1位に輝いたのは、2012年公開の「SAMSARA」です。



SAMSARAは、世界25カ国の知られざる風景や思わず目を疑ってしまう光景を5年間もかけて撮影したという作品。



ストーリーは一切なく、ただひたすら音楽と共に圧倒的なパワーを持つ美麗な映像が流れます。



きれいなインドの衣装を着た女性。後ろに連なる何本もの手が、華やかながらも迫力のある映像に仕上げています。



フランスのパリにあるサント・シャペルのステンドグラス。



水の力で削られた独特の曲線を持つ岩。



自動車がせわしなく行き交う道路のタイムラプスムービー。



これは流れるプールを撮影したタイムラプスです。



イスラム教最高の聖地カアバの周囲にいる人々の群れが回転して渦を描きながら動いている様子は、今までに感じたことのない感動を味わわせてくれます。