英FT紙買収の日経の狙い、デジタル戦略と世界的な読者獲得
2015/07/24 12:55 JST
(ブルームバーグ):日本経済新聞社が英有力経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT) 買収を発表したことで、世界のメディア界には衝撃が走った。新聞社買収としては、最近の事例に比べかなりのプレミアム(割増金)を支払っての買収だからなおさらだ。
世界50カ所余りに約500人のジャーナリストを擁するFTの買収に、同社親会社の英ピアソン に日経が支払うのは13億ドル(約1600億円)相当。日経にとっては大きな収穫であり、日本国内での強みを補完することになる。
東京の地下鉄では毎朝、スマートフォンや「iPad(アイパッド)」を使って日経の記事をスクロールする乗客の姿が見られる。しかしアナリストによれば、日経が本当に手にしようとしているのは、世界的な影響力と同社が進めているデジタル戦略を発展させる戦略的な知見だ。
ニューゾノミクスのメディアアナリスト、ケン・ドクター氏は、「日経は壮大とも言える巨大な人員を抱えるが、その報道の重点は主に日本の読者層だ」とした上で、「こうした報道資源は韓国や香港、シンガポール、そして恐らく中国にも投入可能になる」と話した。
日経はFT買収をてこにさらにグローバル化を進め、デジタル分野での成長を加速させる方針だとしている。両社は編集資源を組み合わせることでアジアの他の市場での拡大を図ることができ、日経はFTのデジタル面の能力を活用して広告・購読収入を増やすというメリットが期待できるとドクター氏は指摘する。
英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のメディア担当ディレクター、チャーリー・ベケット氏は、「日経は日本のFTだ」とコメント。日経はFT買収によって「デジタル対応に非常に長けた組織を入手することになる」との分析を示した。
原題:Nikkei Bags FT for Digital Strategy, Expansion of Global Readers(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Amy Thomson athomson6@bloomberg.net;ニューヨーク Alex Barinka abarinka2@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Teo Chian Wei cwteo@bloomberg.net; Brian Bremner bbremner@bloomberg.net; Kenneth Wong kwong11@bloomberg.net; Cecile Daurat cdaurat@bloomberg.net Brian Bremner
更新日時: 2015/07/24 12:55 JST